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        <title>山辺真幸 on Data Visualization Japan</title>
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        <description>Recent content in 山辺真幸 on Data Visualization Japan</description>
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        <lastBuildDate>Mon, 29 Dec 2025 00:00:00 +0000</lastBuildDate><atom:link href="https://data-visualization.jp/speakers/%E5%B1%B1%E8%BE%BA%E7%9C%9F%E5%B9%B8/index.xml" rel="self" type="application/rss+xml" /><item>
        <title>山辺 真幸／データと可視化をつなぐ「トランスフォーメーション」について考える</title>
        <link>https://data-visualization.jp/transformation-data-visualization/</link>
        <pubDate>Mon, 29 Dec 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
        
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        <description>&lt;img src="https://data-visualization.jp/transformation-data-visualization/cover.jpg" alt="Featured image of post 山辺 真幸／データと可視化をつなぐ「トランスフォーメーション」について考える" /&gt;&lt;p&gt;Data Visualization Japan Meetup 2025「データ可視化本 著者が語る」（2025年12月29日オンライン開催）における、山辺 真幸さん（一橋大学大学院・慶應義塾大学大学院 特任講師／UMT株式会社 代表）の講演です。監訳を担当した『データビジュアライゼーションのためのデザイン原則』の紹介と、「トランスフォーメーション」というキーワードをめぐる考察をお話しします。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
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&lt;p&gt;山辺と申します。今回、可視化の本の著者が語るというイベントでお声がけいただきましたが、私は正確に言うと著者ではありません。『&lt;strong&gt;データビジュアライゼーションのためのデザイン原則&lt;/strong&gt;』（マイナビ出版）という本の&lt;strong&gt;監訳&lt;/strong&gt;——専門家の目で見ておかしいところがないかという訳のチェック——を担当させていただきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今回の講演は「&lt;strong&gt;トランスフォーメーション&lt;/strong&gt;」ということを1つのキーワードにしています。「トランスフォーメーションとは何ぞや」という感じだと思いますが、それは後で深掘りするとして、まずは自己紹介からしたいと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;自己紹介&#34;&gt;自己紹介
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;2つの大学院で勤務しております。&lt;strong&gt;一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科&lt;/strong&gt;（2023年に開設した新しい研究科）と、&lt;strong&gt;慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科&lt;/strong&gt;（今年から参加）です。どちらでも情報化・データビジュアライゼーションを中心に研究をしています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう1つは &lt;strong&gt;UMT株式会社&lt;/strong&gt;という会社をこの8月に作って、データ可視化に関するさまざまなご依頼やデータ分析をお手伝いしています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私はずっと大学で研究をしてきたわけではなく、&lt;strong&gt;もともとは UI デザイナー&lt;/strong&gt;でした。デザインについてはいろいろなイメージがあると思いますが、私はやはり&lt;strong&gt;大規模なデータの可視化もひとつのデザイン&lt;/strong&gt;であり、そのデザインを通じて大規模データから導き出された知見や気づきを、研究者以外の方にも広くシェアする、理解に近づけるということが興味の対象になっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もともとデザイナーだったこともあって、科学館やテレビ、デジタルメディアでデザインされた可視化を見せる仕事もよくやっています。インフォグラフィックスやダッシュボードなどデザインされたデータはたくさんありますが、私の場合は&lt;strong&gt;非常に大きなデータ&lt;/strong&gt;——気象現象や、人間では見ることができないスーパーコンピューターで計算されたシミュレーションのデータなど、研究者やプロユースの方が使うようなデータをいかに可視化して、研究の最前線で今起きていることを伝えられるか、というところが研究の対象になっています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;データビジュアライゼーションのためのデザイン原則の紹介&#34;&gt;『データビジュアライゼーションのためのデザイン原則』の紹介
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;原著はデジレ・アボットさんが書かれた英語の本で、翻訳は長尾さんが担当されました。恥ずかしながら私はアボットさんのことを存じ上げず、この話が来た時に初めてこういう本が出ていると認識して、急いで読んでみたというのが正直なところです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;長尾さんも経験豊富な翻訳者で、私のところに監訳の依頼が来た時にはすでに&lt;strong&gt;かなり精度の高い訳が出来上がっている&lt;/strong&gt;と言ってもいい状態でした。ですので、何か私の成果のように伝わると申し訳ないのですが、もともといい著作ですし、日本語訳も非常に自然で、初見でとても読みやすいというのが印象でした。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;3部構成&#34;&gt;3部構成
&lt;/h3&gt;&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;第1部：基礎知識&lt;/strong&gt; — 人はどのようにして情報を認識するか（認知科学的な話）、データに関する知識&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;第2部：デザイン原則&lt;/strong&gt; — 色、タイポグラフィ、良いチャートの作り方、インタラクションデザイン&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;第3部：実践&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;第1部・第2部は「知っていれば実務に役立つ」知識で、可視化をよくご存知の方には「こういう内容の本は割と多いかな」という感じかもしれません。しかし&lt;strong&gt;第3部の実践のところがキラリと光る&lt;/strong&gt;——ここに私はすごく感じるものがあって、「この本はいい本だな」と思ったという次第です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;第1部第2部の読みどころ&#34;&gt;第1部・第2部の読みどころ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;認知の話&lt;/strong&gt;：形からどのようにして意味を読み取っているのか。可視化の本では定番の話ですが、1つ1つの認知の仕組みについてかなりのボリュームで書かれている印象がありました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;色&lt;/strong&gt;：実際に困るのは「カラーパレットをどう作るか」「色で何かを表現する時にどんなマッピングをしたらいいか」です。レインボーカラーにすると強調されすぎてしまうこともある。色相だけでなく明度や彩度、透明度もうまく使うことで、散布図で密集して重なって見えなくなるところをどう回避するか、といったこともすごく書かれています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に&lt;strong&gt;インクルーシブデザインについて非常に深く書かれている&lt;/strong&gt;のが良かった点です。色の識別には個人差があり視覚特性への配慮が必要ですが、そのための知識、文献、社会の動向がよく書かれていました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;この本は全編カラー&lt;/strong&gt;なのも良い点です。可視化の本で全部カラーでないと「ああ……」という感じがあるのですが、挿絵1つ1つもデザインされているものが多く、見ていて楽しい・気持ちいいというのが印象に残っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;タイポグラフィ&lt;/strong&gt;：サンセリフ、セリフといった文字の形の特徴、可読性のいい書体。少し詳しいなと思ったのは&lt;strong&gt;桁の揃い&lt;/strong&gt;です。これがうまくいく書体とそうでない書体、といった&lt;strong&gt;データに特化したタイポグラフィ&lt;/strong&gt;がすごく書かれていました。可視化の本でここまでタイポグラフィを詳しめに書いてある本は、ちょっとないかなという印象です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;良いチャートの作り方&lt;/strong&gt;：うがった言い方をすれば、やはり&lt;strong&gt;記憶に残るビジュアライゼーション&lt;/strong&gt;であるかどうかが、良し悪しを判断する1つのポイントになるのだろうと思います。単調なグラフではなく、見る人の記憶や印象に残して、欲を言えばそこから行動や意識を変えてもらう——それがビジュアライゼーションの1つの社会的な使命だと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;文字の大きさ、色の使い方、余白の取り方、レイアウトの仕方が大事なポイントなのだということが、図入りでよく分かる。これぐらいレベルが高くて詳しく書かれているものは珍しいのではないかと感じました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;地図&lt;/strong&gt;：「人数と地域性は一緒にはできない」「土地に色をつけると広い面積のところが目立ってしまい、伝えたいメッセージがうまく伝わらない」——可視化を実務で経験された方なら一度は聞いたことがある話ですが、&lt;strong&gt;こういう問題をこうすれば解消できる&lt;/strong&gt;というケーススタディが非常によく書かれています。同じデータでも見せ方の違いで印象がかなり変わる、ということが図入りで解説されています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;インタラクションデザイン&lt;/strong&gt;：マルチデバイスへの対応です。PC で見るのかスマホで見るのか、マウスでクリックするのか指で操作するのかで、まったく違う経験になる。ビジュアライゼーションのデザインツールはマウス操作を前提に開発されていると思いますが、&lt;strong&gt;指で触ったり小さいモニターで見せる時の工夫&lt;/strong&gt;に触れている書籍は少なく、この本の特色の1つかなと感じました。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;監訳を引き受けた理由&#34;&gt;監訳を引き受けた理由
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;原著が出たのが2024年4月なので、日本語版の刊行まで結構すぐでした。実際スケジュールはかなりタイトで——監訳のお話をいただいたのが6月末、刊行予定が8月末と書いてあったので「これは厳しいな」と実は躊躇しました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それでも、とりあえず原著を読んでみますということで中を読んでいったところ——日本で出版されている他の可視化の書籍に比べてだいぶ深掘りされていること、そしてアボットさんが&lt;strong&gt;ダッシュボードやデータビジュアライズをきちんとお客様に納品する仕事を十分にやっている&lt;/strong&gt;という印象があったんですね。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;理論的なところから後半の実践まで、ちょいちょい&lt;strong&gt;人間味が溢れる現場の苦労&lt;/strong&gt;——「この辺は難しいんですよね、でも頑張りましょう」といったことがすごく書かれている。理論だけを合理的・簡潔に書いていく教科書とはちょっと違う、「あ、なんかそういうことあるよね」という**やっている人間だからこそ分かる“あるある感”**が随所に見られて、読み手に共感を与えるものだなと。その理論と実践のバランスの良さを感じました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;基礎から応用まで広くカバーされているので、すでに何冊か可視化の本を読んだ方でも現場感のある言い回しは読み応えがあるし、初めて読む人でも基礎を飛ばさずに書いてあるので楽しめる。そういった意味でもいいなと思ったのが、お引き受けした理由です。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;第3部が独自--ダッシュボードを納品するまでの物語&#34;&gt;第3部が独自 ― ダッシュボードを納品するまでの物語
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;第3部は&lt;strong&gt;ダッシュボードを設計して納品するまでの話がずっと書かれている&lt;/strong&gt;んですね。笑いあり涙ありと言っては何ですが、&lt;strong&gt;苦労話的なことが生々しく書かれている&lt;/strong&gt;のが面白いと思いました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろんプロセスについて書いてある本はたくさんありますが、たいてい割と抽象的にスマートに、「こういうことをやった後にこういうことをやりましょう」とフレームワーク的に書かれている。それとは言ってみれば真逆です。1つのケースに寄り添って書いていくので客観性・抽象性はないのですが、&lt;strong&gt;生気感がすごくある&lt;/strong&gt;。これがなかったら引き受けていなかったかもしれない、というくらい印象に残っています。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ケーススタディの設定&#34;&gt;ケーススタディの設定
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;仮想の話です。あるホテルグループと、データビジュアライザーである主人公が契約して、そのホテルの&lt;strong&gt;客室清掃部長のためにダッシュボードを作ってあげる&lt;/strong&gt;という設定です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ホテルグループには3つのホテルがあり、客室清掃部長は客室の予約データをシステムから見て、どの客室を誰が掃除するかというシフトを決める仕事をしている。向こう30日間の予約状況を見てスタッフを配置するシフトを組む——そのためのダッシュボードを考える、というストーリーです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;調査・立案フェーズ&lt;/strong&gt;：要件を収集し、ステークホルダー——実際に使うのは清掃部長なのか、掃除するスタッフも使うのか、このシステムを決裁して「これで行きましょう」と言ってくれるのは誰なのか——を広く洗い出して情報を集約していく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;主人公はホテルのことに全然詳しくないわけです。当然ですが。それでも、毎日その業務をしている人たちがどんな方なのか、システムの中にあるデータ・使えるデータはどんなものなのかを、「これでお願いします」と渡されるのではなく&lt;strong&gt;自分で情報を取りに行って聞き出していく&lt;/strong&gt;。関係を築きながら必要な情報を集めていくのが立案のフェーズです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だから素材を渡されて計画するデスクワークではなく、いろいろなミーティングをする。&lt;strong&gt;ミーティングの時にどんな態度で臨めばいいか、どういう話をしたらいいか&lt;/strong&gt;まで書かれているのがすごく面白いなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;デザイン・設計フェーズ&lt;/strong&gt;：プロトタイプを作って、細かく細かく清掃部長に意見を聞く。設計してデザインして「できました」ではなく、&lt;strong&gt;作りながらヒアリングをしていく&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;開発フェーズ&lt;/strong&gt;：スタートしてから最後にチェックを受けるのではなく、&lt;strong&gt;途中途中でどう合意を形成していくか&lt;/strong&gt;というやり取りが書かれています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;3つのフェーズはウォーターフォール的に1つずつ進むのではなく、&lt;strong&gt;ぐるぐるとループしている&lt;/strong&gt;。計画して構築してフィードバックをもらう、を繰り返しながら関係性を深めていく。いいものができるのはもちろん、&lt;strong&gt;相手がそのプロジェクトに対してどんどんポジティブになってくれる、自分の味方になってくれる&lt;/strong&gt;というプロセスがよく書かれています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろんこれは物語なのでうまくいくのは当たり前ですが、実際のプロジェクトでは協力的でないお客さんもいるし、難しいことがいろいろあるわけです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;本文からの抜粋ですが——&lt;strong&gt;作りかけのものを他人に見せるのは抵抗があるかもしれないし、一生懸命やったものに批判的なフィードバックを受けるかもしれない。けれど、そうしたやり取りこそが、仕事の成功に必要な情報であり、本当に相手が求めているものをクリアにしていくプロセスなのだ&lt;/strong&gt;、ということが非常によく書かれています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;聞けば「そうだよね」という話ですが、こういうプロセスはやはり勇気がいることだし、トラブルになったら嫌だ、ひっくり返されたら嫌だという思いもある中で進めていくことなんだ、とはっきり書かれている。&lt;strong&gt;データにも詳しくない自分が、対話を通じてデータの背後にあるものやエンドユーザーが見出す意味を掬い上げていく&lt;/strong&gt;プロセスが、非常に共感が持てるところだなと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、著者は&lt;strong&gt;紙でのスケッチによるプロトタイピング&lt;/strong&gt;を推奨していました。実装できるか確かめるために BI ツールを使ってフィージビリティを確認することもあるけれど、紙のプロトタイプをたくさんやることで、&lt;strong&gt;書くことによって自分が気づかなかったアイデアを思い出す&lt;/strong&gt;こともある、と。日の目を直接は見ないかもしれないものを挙げているのが印象的でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そしてこの過程で大事なのは、データベースには膨大なデータがあるけれど、&lt;strong&gt;話を聞いただけでは分からない&lt;/strong&gt;ということ。プロトタイピングをして反応をもらうことで「いや、この情報はいらないんだよ」「私はここだけをすごく気にして見ている」といった重要な示唆が出てくる。そうした対話の中で&lt;strong&gt;取捨選択をしていく&lt;/strong&gt;ところが、非常に印象に残っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;トランスフォーメーションとは&#34;&gt;トランスフォーメーションとは
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;ここで、今日のタイトルにある「トランスフォーメーション」という言葉を話題として出します。私はこの監訳作業をしながら「あ、これはトランスフォーメーションだな」と思っていたんですね。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;トランスフォーメーションとは、&lt;strong&gt;アイソタイプ&lt;/strong&gt;——よく言われるピクトグラムを使ったビジュアライゼーション、あるいはその原型となったアイソタイプ——を世に広めた実践者たちの言葉です。ウィーンの統計学者・社会科学者・哲学者であったオットー・ノイラート、そのパートナーとなった&lt;strong&gt;マリー・ノイラート&lt;/strong&gt;さん。彼らはチームで可視化を作っていたわけですが、&lt;strong&gt;デザイン（実際に見られるもの）とデータの間にある、数から具体的な形を呼び起こすための変換&lt;/strong&gt;を「トランスフォーメーション」と呼んでいました。&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;トランスフォーメーションとは、言葉や数値、データから本質的な事実を引き出して画面の形にするために発見すべき方法であり、データを理解し、専門家からすべての必要な情報を得て、公衆に伝達する価値のあるものを決定し、いかにそれを可能にし、いかに一般的な知識や他のチャートですでに用いられている情報と結びつけるか、ということ&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;抽象的に書かれていますが、&lt;strong&gt;固定されたデザインに行き着く前に、データの持ち主やデータに詳しい専門家から必要な情報を集めてきて、最後に情報を受け取ってほしい人に対して価値のある部分を決定する&lt;/strong&gt;。要するに必要ないものを落としたり、必要な形に変えたりする。これがトランスフォーマーの仕事である、と語られています。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;アイソタイプの成り立ち&#34;&gt;アイソタイプの成り立ち
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;ピクトグラムは「アイコンを使っているもの」と誤解されがちですが、これは後からつけられて定着した呼び方で、そもそも彼らは **ISOTYPE（アイソタイプ）**と呼んでいました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アイソタイプが作られた頃は、資本主義と社会主義という大きなイデオロギーの中で経済が揺れ動いていた時期でした。経済は目に見えないので、日々労働している一般の人が、世界の工業・農業・人口といった大きな数字で見る社会の動きの中で&lt;strong&gt;自分がどういう立ち位置なのかを理解することは難しい&lt;/strong&gt;。そこを、言葉や数式、数学の知識を超えて、経済についての理解を広く一般の人に提供しようと考えられた。それが源流のアイデアです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だから&lt;strong&gt;アイコンを使うのは「指で数えられる」ことが大事&lt;/strong&gt;なんですね。グラフのように長さで比較するのではなく、「人1人が1万人」「車1台で1000万台」と数えることで比較が簡単になる。いろいろなデータに使えるよう文法化して厳格にルールを作り、&lt;strong&gt;一度ルールを覚えれば誰でも読み解きができる&lt;/strong&gt;というコンセプトで作られていました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アイソタイプは3人のチームで作られていました。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;オットー・ノイラート&lt;/strong&gt;：経済とデータに精通し、人々にどんな情報を与えたいかという大きな方向を見定めるディレクターのような役割&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;ゲルト・アルンツ&lt;/strong&gt;：版画家で、最終的なアイデアを図案化するデザイナー&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;マリー・ノイラート&lt;/strong&gt;：&lt;strong&gt;トランスフォーマー&lt;/strong&gt;。数学のバックグラウンドがあったと言われています&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;アイソタイプの根本的なアイデアは「&lt;strong&gt;知識の民主化&lt;/strong&gt;」です。そしてトランスフォーマーは「情報の&lt;strong&gt;公共信託者&lt;/strong&gt;」というやや堅苦しい表現で説明されています。要するに、すべての情報から伝える時に必要な情報を取捨選択して形に落とし込む、そのアイデアを考える役割です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;専門家（こういうデータでこういうことを伝えたい）と、芸術家である版画家の&lt;strong&gt;橋渡しをする&lt;/strong&gt;。橋渡しとは、元のデータから抽出すべき情報と、省略してしまう情報を選定することです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このプロセスはあまり言語化されていません。ノイラート自身が「&lt;strong&gt;トランスフォーマーは経験だから、こうしたらできるというフレームワークではない&lt;/strong&gt;」と語っているくらいです。データに精通していて、かつ伝えたい相手がどういう人々なのかにも精通していなければならない。だからこそ、先ほどの第3部に書かれていた&lt;strong&gt;実践知&lt;/strong&gt;というものが、今も昔も非常に重要な役割で捉えられるのではないかと思いました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;トランスフォーマーの仕事の例&#34;&gt;トランスフォーマーの仕事の例
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;日本のノイラート研究者の論文から図をお借りしていますが、デザイナーである版画家に落とす前にトランスフォーマーが間に入り、統計学者や地質学者などさまざまな学者とデザイナーの間で、&lt;strong&gt;科学的な知識の中からデザインに必要な部分を選択してラフスケッチを書く&lt;/strong&gt;のがトランスフォーマーの仕事だったと述べられています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;では実際にどういうものがトランスフォーマーの成果なのか。分かりやすい例が&lt;strong&gt;人口ピラミッド&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;左側は通常の人口ピラミッド。上に高齢の方、下にいくほど若い人。赤い部分が労働生産人口（働いて価値を創出する人口のゾーン）、上の青と下の緑は就労できない人たち——まだ若すぎるか、引退している、社会にとってケアされるべき人たちです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;右側は&lt;strong&gt;同じデータ&lt;/strong&gt;ですが、人口ピラミッドにするのではなく、&lt;strong&gt;労働できる人を下に置き、労働できない人を上に並べる&lt;/strong&gt;。すると「働ける人と働けない人のバランスが年々どう変化してきたか」が伝わります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同じデータで同じことを言っているけれど、&lt;strong&gt;人口構成のスナップショットを見せたいなら左、労働人口のバランス変化を伝えたいなら右&lt;/strong&gt;。どういうコンテキストで使うのかをよく考えるのがトランスフォーマーである、と言えるのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;現代におけるトランスフォーメーション&#34;&gt;現代におけるトランスフォーメーション
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;これを現代的に解釈すると、トランスフォーメーションはどこで必要になっているのか。（ネタばらしすると、ChatGPT と壁打ちしながら考えました。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今は版画家さんは必要ないですし、可視化のツールもいろいろあって、下手すればワンクリック・ツークリックで描画できてしまう。Python や Tableau でデータからの描画は一瞬でできるかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし**「意味の設計」というところは、まだまだ自動的にはできていない**。そこから、&lt;strong&gt;正確だけれど何かその意味が読みづらい、何を伝えようとしているのか分からないグラフ&lt;/strong&gt;が生まれつつある。ツールで描画は一瞬でできるけれど、トランスフォーメーションがあまり考慮されていないと、「正確だけれど、なんだか何が言いたいの?」というものが結構できてしまうのかなと感じています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;BI ツールを悪者にするつもりはないのですが、やはりそこで意味の設計はできない。データを直接ビューに収めていけばできてしまう。けれど&lt;strong&gt;そこからどんな意味が読み取れるのかは、データの専門家と対話をしなければ見えてこない&lt;/strong&gt;し、使う人がどんな分析をしたいのか、見た人が何に興味を持っているのかが分からないと、&lt;strong&gt;図が書かれただけに終わってしまう&lt;/strong&gt;のではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;現代のトランスフォーマーに必要な能力&#34;&gt;現代のトランスフォーマーに必要な能力
&lt;/h3&gt;&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;データサイエンティスト&lt;/strong&gt;のような分析・検証能力。伝えるべき核心的な数値への凝縮ができ、構造化もできる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;インフォメーション・アーキテクト&lt;/strong&gt;。文脈に沿った物語的なレイアウトができる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;UX デザイン&lt;/strong&gt;。可視化からユーザーが実現したいことを理解し、アクションやインタラクションまで含めて作れる&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;ただ、これら全部できる人はそういないと思います。だから大切なのは、&lt;strong&gt;異なる職能の人たちが「トランスフォーム」という言葉を意識しながら&lt;/strong&gt;、データの専門家やエンドユーザーにアクセスして、時には泥臭く情報を引き出してくること。&lt;strong&gt;描画のところだけ自動化されても、意味の豊富なビジュアライゼーションは作れない&lt;/strong&gt;ということが、現代でも言えるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;自分の経験に置き換えると&#34;&gt;自分の経験に置き換えると
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;コロナウイルスのゲノムデータから、その広がりを3次元的・地理空間的に可視化したプロジェクトでも同じでした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もともとゲノムのデータ自体を全然知らなかったのですが、「こういう見せ方でこう可視化できる」「近縁関係が見える」「子孫が多いところが太い」という&lt;strong&gt;すでにあるビジュアルのマナーをよく汲み取り&lt;/strong&gt;、専門家がどういう使い方をしているのかを聞く。しかし最終的にこれを見せる人たちはそんなに知識がない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;元の形をどう変換していけばいいのか&lt;/strong&gt;をプログラミングしながら、先ほどのホテルの話とまったく同じでプロトタイピングしながら専門家の意見をいただき、「ここがこう見えるなら、この色を変えてみよう」「見え方が複雑すぎるので、どうやって複雑性を抑えるか」と進めていく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;複雑性を抑えるとは、情報を捨てていくこと&lt;/strong&gt;なんですよね。どういう情報なら捨てていいのか。捨てすぎると科学的に嘘になってしまうので、&lt;strong&gt;嘘にならないレベルで大事なところを残して見やすさを出すにはどうしたらいいか&lt;/strong&gt;——本当にトランスフォーミングだったなと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうしたビジュアライズで自分も感じるのは、&lt;strong&gt;必要になるスキルが非常に多岐にわたる&lt;/strong&gt;ことです。私が必要だと思っている3つの力は——&lt;/p&gt;
&lt;ol&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;実装する力&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;造形する力&lt;/strong&gt;（タイポグラフィや色の使い方といった造形力）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;データを分析して元データから意味を抽出する力&lt;/strong&gt;（データサイエンス能力）&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt;
&lt;p&gt;もちろん全部1人ではできないので、協力していただける方と一緒にやっています。ただ、「こういうことが必要だよ」という&lt;strong&gt;形式知としていろいろ勉強はできるけれど、実践していろいろな人と仕事をしてみないと分からない&lt;/strong&gt;ことがたくさんあった、というのが自分の経験の中で思い浮かぶところです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;専門家・ドメイン知識のある人とのコミュニケーション、最終的に見る人がどう触るか・何を考えるかを探索的に探っていく。そこが非常に実践的であり、&lt;strong&gt;それを蓄えていくことが良いトランスフォーマーに近づくこと&lt;/strong&gt;なのだろうと感じています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;まとめ&#34;&gt;まとめ
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;本書については、特に&lt;strong&gt;第8章（実践）&lt;/strong&gt;——さまざまな形式知をきちんと学習した後、最後にそれを仕事や社会に生かしていくところで必要な&lt;strong&gt;実践知を得ていくプロセス&lt;/strong&gt;が印象に残りました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして&lt;strong&gt;トランスフォーマーという役割は、現代でも引き続き必要になっている&lt;/strong&gt;と言えると思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;現代ではそこが&lt;strong&gt;データサイエンス・IA・UX&lt;/strong&gt; の3領域にまたがっている。もちろん全部できる人は珍しいかもしれませんが、2つくらいをお互い共通領域として持っていると、とても新しい仕事の仕方ができるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした3つの領域から&lt;strong&gt;対話を通じてトランスフォーメーションを実現する&lt;/strong&gt;。結局「このチャートは誰のどんな行動を変えたいのか、どんな意味をもたらしたいのか」というところにつながっていく、新しいデータビジュアライゼーションの仕事の作り方につながっていくのではないか——そんなことをぼんやり考えました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ぶっちゃけ、矢崎さんからお話をいただいてから「こういうことを考えてみたい」と思ったところが正直なところなのですが、こんなことを考えました。&lt;/p&gt;</description>
        </item>
        <item>
        <title>山辺 真幸／データビジュアライゼーションを創造する</title>
        <link>https://data-visualization.jp/creating-data-visualization/</link>
        <pubDate>Fri, 29 Dec 2023 00:00:00 +0000</pubDate>
        
        <guid>https://data-visualization.jp/creating-data-visualization/</guid>
        <description>&lt;img src="https://data-visualization.jp/creating-data-visualization/cover.jpg" alt="Featured image of post 山辺 真幸／データビジュアライゼーションを創造する" /&gt;&lt;p&gt;Data Visualization Japan Meetup 2023（2023年12月29・30日開催）における、山辺 真幸さん（データビジュアライズデザイナー／一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科 特任講師）の講演です。NHKとの共同制作を題材に、博士研究で導き出した制作プロセスのモデルとパターン・ランゲージを紹介します。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
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&lt;p&gt;「データビジュアライゼーションを創造する」という、ちょっと大業なタイトルをつけてみました。Data Visualization Japan のミートアップは2年ぶりくらいでしょうか。このコミュニティで発表するのをすごく楽しみにしていて、またお呼びいただけて嬉しいです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;自己紹介&#34;&gt;自己紹介
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;私はデータビジュアライズを制作する仕事にデザイナーとして携わっています。大学時代まで遡ると工学部の卒業ですが、社会に出てからはグラフィックデザイナーとしてずっと活動しています。今年、社会人博士課程で慶應義塾大学から博士号を取得しました。研究内容もデータビジュアライズのデザインに関することです。現在は一橋大学のソーシャル・データサイエンス研究科におり、研究とデータビジュアライズの開発・デザインの2つを柱として活動しています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;手がけてきたプロジェクト&#34;&gt;手がけてきたプロジェクト
&lt;/h2&gt;&lt;h3 id=&#34;新型コロナウイルスの3次元系統樹&#34;&gt;新型コロナウイルスの3次元系統樹
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;最も多くの方に見ていただいたのが、新型コロナウイルスの3次元系統樹です。NHK、東海大学の中川先生、私のチームで開発しました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2020年から制作したもので、新型コロナの感染者から得られたウイルスのゲノム情報を解析し、オープンデータとして全世界で共有するプロジェクトがありました。そのデータを使って、まさに進行中のコロナ禍を科学データから可視化できないか、というプロジェクトです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;元々は8Kでビッグデータをビジュアライズしてどんな表現ができるか、というところからスタートしました。可視化するごとにさまざまな事実が浮き彫りになり、今起こっていることをウイルスのゲノムデータからも見られると分かってきた。それで地上波でもぜひ使いたいということになり、先がどうなるか分からない渦中で、クローズアップ現代や NHK スペシャルでも、状況が変わるごとにデータをアップデートして伝えるということをやってきました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;クラスター発生の時空間密度&#34;&gt;クラスター発生の時空間密度
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;別のプロジェクトで、これもコロナに関するものです。JX通信社さんからデータを提供いただきました。クラスターが発生した地点とその規模を、ニュースやプレスリリースから抽出した時系列データです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;感染の頻度と密度――ある地域で時間的に頻発しているという空間的密度と、同じ地域でどれだけ連続しているかという時間的密度――の両方向を可視化しました。上空が過去の時間で、地表に向かうほど時間が進んでいきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;どの年でも、最初は赤く光っているところが1箇所に集中しています。それがだんだん、赤い集中点がなくなって、「やや危険」の黄色が1箇所ではなく周りの路線や交通でつながったところに広がっていく。すごく赤いところはないけれど、黄色の面積で見るとかなり広がってきている、というのが分かります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;過去の経験に照らしてみると、自分もそうだったなと思うのですが、最初は「夜の街が危ない」と特定の場所を名指しして、そこに近づかないようにしようという話でした。それがだんだん――人の心理として慣れが来たのかもしれませんが――集中している場所だけでなく、人の流量が多いところに染み出していく。第1波・第2波・第3波の中でも、人の生活パターンと感染の拡大がリンクしてきている。だから「大都市の中心部ではないけれど、やはり人の多い繁華街に行くのはやめようか」と考えていただくきっかけを作る、という意味で、NHK の番組で何度か使っていただきました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ワクチンをめぐる-sns-の感情の伝播&#34;&gt;ワクチンをめぐる SNS の感情の伝播
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;こちらも NHK と一緒に作ったもので、東京工業大学の鳥海先生のチームからデータをお借りしました。ツイート、特にワクチンに関して、どういう感情がどのように伝播しているかを分析して可視化するプロジェクトです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;数百万件、約1年分のツイートデータを先生方が集めて研究に使われていたので、その全体像を可視化するとどうなるかという興味から、8K の高解像度デバイスでどれだけ詳細な状況が見えるかを専門家と一緒にデザインしました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;下部のグラフは1日ごとのツイート回数です。ワクチンに関して大きなニュースが流れると、それに対するツイートが増える。世間の話題のきっかけになるニュースと、Twitter 空間の状況がどうリンクしているかを見やすくしています。1つ1つの点がアカウントで、ワクチンに対してどういう感情を持っているかでクラスタリングした結果が色分けです。リプライやリツイートをするとアカウント間に線が張られ、どんな言葉・引用コメントでやり取りしたかを感情分析して、ポジティブなら青、ネガティブならピンクで表現しました。ニュースが流れたときに SNS の中で人がどう反応しているのか、その全体像を見てみようとチャレンジした作品です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;線状降水帯のメカニズム&#34;&gt;線状降水帯のメカニズム
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;がらっと変わって、NHK と気象研究所と一緒にやっているプロジェクトです。線状降水帯が大きな被害をもたらすことがニュースでも報道されていますが、それがどのように発生するのか、そのメカニズムを解析する研究が気象研究所で行われています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「富岳」を使ってかなり細かいメッシュで計算しているのですが、研究者の皆さんは自分のデスクトップで見られるように、時間や空間を絞って見ているわけです。そのデータの全量を3次元的に可視化すると、一体どういう映像になるのか。NHK のチームと作っている作品です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一般公開もするのですが、実際に研究者の方に見ていただくと、自前のツールでは見えなかった風の動きや雲の湧き始めの部分などを、いろいろな角度からグリグリ回して見ていただける。一般の人だけでなく研究者にも有益に使っていただける可視化をデザインする、というプロジェクトです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;私が作っているもの&#34;&gt;私が作っているもの
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;私がやっているのは、かなり大規模な、研究者が持っているようなデータを扱う仕事です。それを研究者が探索するのではなく、できるだけ一般の方に見ていただく。その中で、そこまで関心がなかった人たちが「何だろうこれ、すごい面白いな」と、そのデータが持つテーマや、データから見える意味そのものに、能動的な態度を持って洞察に向かってきてくれる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ビジュアライズする側が「こういうストーリーが面白いですよ」と言うのではなく、&lt;strong&gt;見る人が自分で探索したり興味を持ったりするきっかけになる&lt;/strong&gt;ビジュアライズを、ここ何年か作っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;世界の作家たち&#34;&gt;世界の作家たち
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;こうした大規模な人の行為や社会の動きを可視化するデザイナー・アーティストは、世界にたくさんいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Aaron Koblin&lt;/strong&gt; の &amp;ldquo;Flight Patterns&amp;rdquo; は有名です。北米地域に絞り、24時間ちょっとで156万2000件のフライトを描いたもの。場所だけでなく、どんな機体が飛んでいるか（ボーイングかボンバルディアか）といった情報もあるのでフィルターできます。ハブになっている大都市の人の移動と、そこから伸びる中規模・小規模な都市への移動が見えてきて、北米に点在する都市の人口や経済の動きも想像させる、素晴らしくインパクトのある作品です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Refik Anadol&lt;/strong&gt; の作品は、日本でも展示されて見る機会が多いと思います。Twitter のデータを使い、サンフランシスコの都市の上にツイートが活発になる様子を映し出す。現実の都市空間と SNS 空間の中で人が活発に活動する様子を重ねて見せるものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Pedro Cruz&lt;/strong&gt; の作品は、アメリカの移民データを木の年輪のような形で表したもの。色はどこからの移民が多いかを表します。1960年代から見ていくと、最初は緑（ヨーロッパからの移民）がどんどん成長する木のように見える。だんだん現代に近づくと、アジアやラテンアメリカからの流入が多くなり、木の成長に例えると非常にいびつな格好をしている――というビジュアルインパクトを与えます。アメリカの移民問題はさまざまな社会問題と深くつながっていますが、決して順風満帆に綺麗に成長したのではなく、さまざまな人がいろいろな時代に入ってきたことで現代のアメリカ社会が成り立っている。それをビジュアルを通して伝えていく作品です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Google の &amp;ldquo;High-Dimensional Space&amp;rdquo;（大規模で次元数の高いデータをいかに圧縮して見せるか）のようなプロジェクトもあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした作品は、ほとんどアートの文脈で発表されるものも多い。デザインとして何かを伝えよう、メッセージを明確に送ろうと作られているものも多いですが、どこからがアートでどこからがデザインかを線引きするのは難しく、ビジュアライズとして作られたものが美術館で展示されたり収蔵されたりというのが現状かなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;作り方が見えないという問題&#34;&gt;「作り方」が見えないという問題
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;こういった、人を圧倒するような、他で見たことのないビジュアライズは、ほとんどその制作過程が謎めいています。中には「こう作りました」と共有されるものもありますが、一般的に「やってみよう」とすると難しいものが多い。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;作家が感覚的に作っているんじゃないか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;そういうデータはどうやって見つけてくるのか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;データから作品にするためのアイデアはどう作るのか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;解釈をどれだけ鑑賞者に委ねていいのか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;科学的な正しさはどう担保するのか&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;こうしたことが、なかなか見えてこない。私自身、「すごくかっこいい作品だな」と思っても、「あれを自分1人でやるとしたらどうやるんだろう」という壁にぶち当たってしまうわけです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;結論から言うと&#34;&gt;結論から言うと
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;そうした問題意識を持って社会人博士課程を過ごし、作り方の土台になるものは作れないだろうかという研究をしてきました。この夏に博士論文を提出して学位を取得しましたが、その中で書いたことは、結論から言うと――&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;マニュアルやフレームワークで、ああいったものを作るのは難しい&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ではどうするか。事前に「このデータからこういうものが見えるだろう」という問いや課題を明確に設定せず、&lt;strong&gt;可視化を何度も繰り返し（イテレーションし）ながら問いを立てていく&lt;/strong&gt;プロセスがうまくいくだろう&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;そうしたプロジェクトはデザイナー1人ではできないので、さまざまなドメイン専門家とのコミュニケーションを築きながら作る。その中でも&lt;strong&gt;デザイナーがプロジェクト全体をリードしていく&lt;/strong&gt;とうまくいくだろう&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;では、デザイナーがリードするとき、データに対する知識を持つドメイン専門家とどう信頼関係を構築するか。ビジュアルがかっこいいものを作るだけでは仕方がないので、専門家との対話を通じて問いを育て、ビジュアルをブラッシュアップしていくにはどうすればいいのか。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうしたプロジェクトをいろいろやると、途中で起こる問題には一定の共通性があります。「またこういう問題だよね」「あのプロジェクトでもこういうことあったよね」という“あるある問題”がかなり出てくる。マニュアル化は不可能でも、&lt;strong&gt;一定のプロジェクトの進み方のモデル&lt;/strong&gt;があると嬉しい。さまざまな問題に対処しながらイテレーションしていくとき、ある程度の共通の経験則を言語化しておけば、他のデザイナーが同じようなプロジェクトをやるときに「こういうシーンでこんな問題が起きそうだ」と事前に共有しやすい。そういうものを作れるといいな、という研究をしました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（詳細は博士論文にすべて書いてあります。260ページほどあってとても長いのですが、興味のある方は私の X の固定ポストにリンクを貼ってあり、どなたでも読める状態になっています。）&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;データビジュアライゼーションとは何か&#34;&gt;データビジュアライゼーションとは何か
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;ここからは博士論文の内容を要約してお話しします。まず、そもそもデータビジュアライゼーションとは何だろう、というところから。言葉はよく使われますが、何を意味するかは人それぞれな部分がありますので、整理から始めます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;データを可視化することには「探索的可視化」「説明的可視化」という機能がある、と一般によく言われます。そこをもう少し掘り下げて、大規模なデータビジュアライゼーションが社会にとってどういうものなのかを整理すると、周りに3つの存在があると定義できます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;学術研究&lt;/strong&gt;：大規模なデータを扱う研究は、今や分野を問わずかなり増えています。昔はデータをあまり使わない研究もありましたが、幅広い分野で大規模データを扱うスタイルに変わってきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;市民&lt;/strong&gt;：研究が社会に波及していくとき、市民の側は情報過多になっていて、知りたいものだけをつまみ食いするような情報摂取スタイルに変わってきています。大事な研究、社会で考えていかなければいけない研究を掘り下げるための手段が少ない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;社会課題&lt;/strong&gt;：単純な答えのない社会課題がかなり増えている中で、「研究で確定したからこうだ」というものはなかなかない。研究で分かったことから、どう考えていくかを議論しながら答えを見つけていかなければならない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これらを&lt;strong&gt;つなぐポジション&lt;/strong&gt;として、データビジュアライゼーションは機能するだろうと考えています。先ほどお見せしたプロジェクトでも、常に学術・社会・市民という立場を考えながら最適なものを作るというポリシーで制作しています。データビジュアライゼーションそのものは「モノ」のデザインですが、この関係性で考えると、モノだけでなく「コト」を考えながらデザインするもの、と捉えてもいいのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;関連研究--3つのモデル&#34;&gt;関連研究 ― 3つのモデル
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;では、どうやって作るのか。データビジュアライズの作り方に関するフレームワークやモデルは、調べるとかなりあります。有名どころだけお話しすると――&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Munzner のモデル&lt;/strong&gt;：ヒューマンセンタード・デザイン、あるいは HCI（ヒューマン・コンピュータ・インタラクション）の世界で、専門家が探索的に問題を発見していくタスクを分析し、そのタスクを効率的に達成できるものを作るときによく出てくるモデルです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Andy Kirk の4ステージプロセス&lt;/strong&gt;：日本語版も出ているので読まれた方も多いと思います。データジャーナリズムやスクロリーテリングもここに入ってくると思いますが、編集的思考――データの中からどんなストーリーを出したいか、どういう人に届けるか――と、相手やストーリーを厳密に絞りながらデザインしていくスタイルです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Ben Fry の Computational Information Design&lt;/strong&gt;：これが、先ほどのアートのようなデータビジュアライゼーションを作るプロセスと関連が深いものです。Processing というプログラミング環境を開発した Ben Fry が提唱しました。前の2つと似てはいるのですが、ステップを縦横無尽に行き来する。「こういうものが見えたから、こういう分析に変えよう」と、見えたものに対してレビューしながら方針をどんどんラフに変えていく、少しアジャイルっぽい進め方です。デザインをたくさん作る、プロトタイプをたくさん作るという意味で「Processing のようなものがあるといい」という考え方から、Processing 自体がそのマインドを反映して開発された、という経緯もあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Ben Fry の作品は、よく見れば解釈も可能なのですが、ビジュアルはかなりアートっぽい見え方をしています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;私の問題意識--専門家とデザイナーの対話&#34;&gt;私の問題意識 ― 専門家とデザイナーの対話
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;データビジュアライズをするとき、デザイナーはすべてのデータに精通しているわけではありません。たとえば生命科学のデータを使うときは、そのデータの形式はどうなのか、このデータはどう取得されたのか、というところも掘り下げなければならないはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ところが Ben Fry のモデルは、それを全部1人でやっている雰囲気があります。&lt;strong&gt;専門家とデザイナーがどうコミュニケーションしているかに、あまり言及されていない&lt;/strong&gt;。では実際、現場で起こる専門家とデザイナーの対話やコミュニケーションはどういうものなのか。そこを取り出してみたい――これが私の研究の一番根っこにあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;デザイナーがどの段階で関わるかを図にすると、データ分析をする人がいて、「こういう風にデザインしよう」と形が決まったところでデザイナーが呼ばれるパターンが多いと思います。しかし、デザイナーの領域をどんどん拡大して、最初のプロトタイプの段階からデザイナーが新しい可視化を生み出しながら考えを進展させる――それが Ben Fry の考えるプロセスです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;制作プロセスの観察&#34;&gt;制作プロセスの観察
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;そこで、デザイナーと専門家のコミュニケーション、そしてそれが進展していくプロセスを観察しました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;対象は、先ほどの新型コロナ3次元系統樹のプロジェクトです。NHK さんの許可もいただいて、会議でどんなやり取りがなされたかの会話ログ、私が書いたプログラムのコミットログ、プロトタイプにフィードバックした専門家の言葉などを分析し、どんなタスクをどう進めていったのかを分析しました。（プロセス自体の話は3年前にこのミートアップでお話ししていて、アーカイブが残っているので興味のある方はご覧ください。）&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;出発点はアバウトに&#34;&gt;出発点はアバウトに
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;プロジェクトの出発点は、「このデータは地理空間の情報でもあり、時系列の情報でもあり、変異の情報も含む。そのビッグデータを1つの画面に載せるとしたら、どんなことが見えるかな」という、かなりアバウトなものでした。&lt;strong&gt;あまりはっきりと「これを見よう」と決めずに出発しています&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ステップ1専門家の可視化を学ぶ&#34;&gt;ステップ1：専門家の可視化を学ぶ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;まず、そういうデータは研究の中ですでに可視化されているので、「そのデータがあるとき、研究者はどんな図を使って何を見ているのか」をデザイナーである私が掘り下げて勉強していきます。「こういう図ではこういうことが見える」「こういう分析をしたいときはこう可視化する」という、専門家が使っている可視化のツールやボキャブラリーを吸収していきます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ステップ2ラフスケッチとプロトタイプ&#34;&gt;ステップ2：ラフスケッチとプロトタイプ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;そしてラフなお題があった中で、「系統樹を時空間上にマップしたら、実断面を通過するように見えるんじゃないか」というアイデアを会議でスケッチします。できるかどうか全然分からない中で、とにかくやってみる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ラフにプログラムを書くと、案の定ヘアボール化してかなり見づらい。その途中経過も専門家に見てもらいながら、「こう可視化できるなら、どの経路から入ってきたか、特定の経路だけ色分けしたらどうか」とプロトタイプを作る。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同時に、見えているものが科学的に正しいかどうか、アルゴリズムの検証も進めます。研究者の方から「このウイルスは確かにここで見つかって、おそらくここで分岐したのだと思います」といった確からしさを確かめながら進めていきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;見づらさをどう解消するか。系統樹の枝分かれの部分をどう束ねれば見やすくなるか、束ねることで大事なところが潰れてしまわないかを検証しながらアルゴリズムを作る。結果として、ある程度絞って簡略化することで、左の図が右の図のように見やすくなり、「どちらから来たものがどちらに広がっているか」が分かりやすくなりました。こうして1つ1つの問題を解消しながら進んでいきます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;終わりはない&#34;&gt;終わりはない
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;結果として、どこで終わりということはありません。見えてきた結果を報道に使ったり、展示に使ったり、インタラクティブにしたり。そこまで進んだプロトタイプの中から「この見え方なら、こういうことが話せるんじゃないか」とピックアップしながら、その都度コンテンツに落とし込んでいく流れになります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;見えてきたサイクル&#34;&gt;見えてきたサイクル
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;このプロセスを全部分解すると、だいたい100ステップほどありました。それを時系列に並べると――データを取得し、フィルタリングやマイニング、仮の表現をして、探索的なインターフェイスを作り、「レビュー」で専門家と話し合う。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;専門家はずっと一緒にいるわけではなく、レビューのところで見ていただく。すると「こう見えるなら野生株の広がりを見たいよね」「ある国で検出した変異がどういうルーツを持つのか見たいよね」と、&lt;strong&gt;新たな問いがたくさん生まれてくる&lt;/strong&gt;。これがアイデアの種になって進んでいきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このジグザグを繰り返して、最終的に、科学的な正しさもあり、その広がりが普通の人が見ても分かりやすくインパクトもある、というものができ上がっていきます。あとはコンテンツにする際のテロップを入れたり、色を調整したりという作業が入ります。レビュー段階で上がってきた「こういうのを見てみたいよね」というアイデアをブラッシュアップしたものが、公開時の映像に取り込まれていく。「日本に入ってきた流入経路だけ見たい」という要望があり、その機能を追加する、といったこともありました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;分解したタスクが、どうタスクとタスクでつながっているかを可視化してみると、やはり&lt;strong&gt;サイクル&lt;/strong&gt;があります。レビューを通して新たな問いが見つかり、そのためにフィルタリングからやり直し、マイニングして、また表現してみる。このぐるぐるとしたサイクルを回すことで、&lt;strong&gt;同じデータを使っていながら、さまざまな情報を取り出し、さまざまなストーリーを見つけることができる&lt;/strong&gt;。どのプロジェクトにも共通して見える、いいサイクルだと言えるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;dex-モデル&#34;&gt;DEX モデル
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;これをモデル化して、名付けをしました。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;Diving（ダイビング）&lt;/strong&gt;：最初の段階で、専門家に対してデザイナーが受け身にならず――専門家からもらったものを綺麗にするだけのデザインでは、ここまでいろいろなことは見えてこないと思います――データや対象に対して、デザイナーからどんどん情報収集をしていくプロセス。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;Exploring（エクスプローリング）&lt;/strong&gt;：イテレーションの部分。可視化して意味を探求し、レビューを通じて意味を取り出していく。専門家が全部分かっているわけではなく、「この辺が特徴的に見えるけれど、これは何でしょうね」「多分こういうことだと思うけど、ちょっと調べてみます」という&lt;strong&gt;対等な関係&lt;/strong&gt;ができていく。そして「ここはこういう現象が見えていると言って差し支えないと思います」という形で、さまざまな事実が見えてくる。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;Assembling（アセンブリング）&lt;/strong&gt;：見えてきた事実を「面白いので、メディアとして組み立てましょう」というステップ。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;この3つの頭文字を取って &lt;strong&gt;DEX&lt;/strong&gt; というモデルと呼んでいます。こんな大きな枠組みがあると、最初にふわっとした目標を立てても、見失わずに進んでいけるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ざっくりまとめると、&lt;strong&gt;研究者とデザイナーはお互いを補い合う関係&lt;/strong&gt;です。研究者の関心や知見をデザイナーが吸収して創造的な可視化を作ることで、研究者が自分の関心の部分しか見ていなかったところに、他の意味や多様な解釈を見つけたり、美感を考慮したビジュアライズとして作っていく。これは研究者が「こう作ってください」と言ったものでもなく、デザイナーが「こう作りたい」と思ったものでもない。&lt;strong&gt;お互いのやり取りの中から、創造的なビジュアライズが出てくる&lt;/strong&gt;わけです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;パターンランゲージ&#34;&gt;パターン・ランゲージ
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;大きなモデルがあっても、実際に問題が起きたときにどうするかを実践するのは難しい。そこでパターン・ランゲージも一緒に作りました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;パターン・ランゲージとは、ある領域において良い質を生むための設計の本質的なパターン。平たく言えば「こういう風にやると良くなるよね」という“あるある”に近いものです。ただ、それが自分の中でしか分からなかったり、限られた人だけで「ああ、あれだよね」と言っていてもなかなか広がらない。&lt;strong&gt;体系化して共通言語のように使う&lt;/strong&gt;ことで、同じようなことをする方が事前に学習したり、「私はこういうパターンを見つけた」というものをコミュニティで共有していくことができる。そういう狙いを持っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Diving / Exploring / Assembling の中でどういった問題が起きやすいか、&lt;strong&gt;33個のパターン&lt;/strong&gt;を抽出して説明しています。実際のプロジェクトで、マイニングの段階でやったこと、フィルタリングの段階でやったことなど、どのプロジェクトでも共通する経験値を50個ほど出して、後から構成し直すという形で作りました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば Diving のところでは、「ツールを使えばパッと可視化できてしまうけれど、そのデータの背景は何だろう、というところまで想像してみよう」というパターン。変数についても、「数字そのものが意味を持っているような感じはするけれど、その数値はどういう範囲で正確なのか、意味を掘り下げてみる」――そうしないと、ただ可視化するだけでは見えてこないものもある。「レシピを残さないと後で再現できない」といった、当たり前のようで大事なことも入っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このパターンとモデルを学生に使ってもらい、ワークショップをしました。専門家もワークショップに参加して、参加者が自らヒアリングやレビューを重ねながら作品を作る、ということを行っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;なぜ創造するのか&#34;&gt;なぜ「創造」するのか
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;まとめとして、「創造する」というテーマに話を戻します。&lt;strong&gt;わざわざ時間と労力をかけて新しいビジュアライゼーションを創造する意義は何なのか。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;大規模なデータが社会構造を変えるような可能性が、いろいろと出てきています。大規模言語モデルや生成AI のように、超巨大なデータからブレークスルーが生まれるのは LLM だけでなく、いろいろな学術領域で発生していることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただ、そのデータは大規模に取れるがゆえにかなり複雑です。複雑なので分析も大変なのですが、&lt;strong&gt;分析していく過程でいろいろなものが削ぎ落とされていく&lt;/strong&gt;。ですから、複雑なものを複雑なまま捉えることに価値が出てきているのではないかと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「整形・集計してしまうとみんな同じになってしまうけれど、よく生データを見たら全然違う」という話も象徴的です。情報を圧縮することで、重要な視点が削ぎ落とされる。これはある種宿命的なところで、シンプルに伝えようとすればするほど、ビジュアライズも情報が削ぎ落とされてしまう。実際のところどうなのか、人の想像力を働かせてもらうためには、&lt;strong&gt;複雑なものを見てもらう方が、その実態に対してイメージを膨らませてもらえる&lt;/strong&gt;と考えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;可視化が世界の捉え方を変えてきた&#34;&gt;可視化が世界の捉え方を変えてきた
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;ロングスパンで考えると、人類は可視化することで世界の捉え方を発見してきた、と言えると思います。科学革命以前の神話や宗教の世界観から科学が発展して今に至るわけですが、その都度、今我々がよく使うビジュアライゼーションは、社会的な大きなニーズが生まれて作られてきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Robert Plot&lt;/strong&gt;（plot の語源になったと言われる人物）は、気圧という人間が直接感知できないものをプロットすることで、気象の中のパターンを見出しました。場所が違えば変わってくる。こうした変動が風を起こし、天候の変化につながっていくのだろう――観測してデータとして表すことで、それまで人間が感知し得なかった世界が見えてくる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Minard&lt;/strong&gt; の有名なナポレオンの進軍図。なぜ Minard がこれをやったかというと、彼はデザイナーではなく土木技師なんですね。産業革命が起こってイギリスで鉄道ができ、フランスにも鉄道を引きたいとなったとき、「ではどこに引くか」。交通を調べたり、どこからパリに肉を運んでいるかという家畜の流動を調べたりして、それを地図の上に表現する。鉄道は一度引くと引き直せないので、そういうことが必要になった。交通網の発展と、地図上に統計データを可視化することが結びついて、非常にインパクトのある作品が数多く作られ、その中にナポレオンの進軍図もあるわけです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;ピクトグラム&lt;/strong&gt;（アイソタイプ）は Otto Neurath が作ったと言われますが、彼だけでなく、版画家の Gerd Arntz や Marie Neurath といった、数字をいかに形に落とし込むかの専門家――デザイナーに近い存在――とのコラボレーションで作られています。そもそも、資本主義に任せておくと格差が開いてしまうから計画経済の方がいいのではないか、という経済論争が起こったときに、労働者階級の人にも経済を知ってもらった方がいい――そういうニーズがあって生まれてきた背景があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;地図&lt;/strong&gt;もそうです。先ほど「メルカトルはやめよう」という話がありましたが、海を渡る時代から飛行機の時代に入って、世界の捉え方も変わってきた。特に冷戦下では、メルカトル図法だと東と西がすごく遠く離れたものに感じてしまいますが、北極から見る形にすると「北極を挟んで隣り合っているじゃないか」と、世界の見え方が変わってくる。Buckminster Fuller が作った図は、国連旗のイメージにも影響を与えたと言われています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このように、可視化のビジョンが変わることは、&lt;strong&gt;世界観を変えていく力&lt;/strong&gt;を持っています。AI の時代に入っていくとき、ずっとプロットや棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフだけで済むことは、意外に少ないのかもしれない。もっと新しい見え方を考えていかなければならない――人類の長い歴史を見ると、そう思うわけです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;これから&#34;&gt;これから
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;複雑なものを複雑なまま捉えることの価値は、これから AI の時代に入っていくときに、いっそう重要になると思います。データそのものの形は見えづらくなっていく一方で、それが ChatGPT のようなパワーを発揮している。ChatGPT を使うこととは別に、&lt;strong&gt;データとはどういうものなのか、データから見る世界の捉え方&lt;/strong&gt;は、新しく作っていく価値があるのではないかと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのために何をすべきか。既存のビジュアライゼーション手法やライブラリを利用するだけでなく、先ほどの学生作品のように、少し荒削りでも創造的（クリエイティブ）なビジュアライズにどんどんチャレンジするデザイナーが出てきていいのではないか。そのとき、デザイナーの独りよがりではなく、&lt;strong&gt;ドメイン専門家とビジュアライズデザイナーのハッピーな関係&lt;/strong&gt;をいかに作っていけるか。そこで、先ほどのようなモデルが何らか役に立てるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最後に言うと、デザイナーが手を出しやすい環境は揃ってきていると思います。美術大学でビジュアライズの授業もやっていますが、勘のいい学生、プログラミングが好きな学生は年々増えています。Processing や p5.js、three.js、Jupyter Notebook も使えるという学生は、昔ほど珍しい存在ではなくなってきた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;専門家とビジュアライズデザイナーがどう手を取り合ってプロジェクトを進め、課題を発見していくか。そこにたくさんの人がトライできれば――「日本のビジュアライゼーションはあまり盛り上がっていない」という話もありますが、プログラミングやビジュアルコーディングが好きだという人がビジュアライズの世界に入ってきてくれれば、また景色は変わっていくのではないかと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;というわけで、この辺りで終了しておきたいと思います。ありがとうございました。&lt;/p&gt;</description>
        </item>
        <item>
        <title>山辺 真幸／「データビジュアライズデザイン」― 私たちはデータから何を見ようとしているのか</title>
        <link>https://data-visualization.jp/dataviz-design-what-we-see/</link>
        <pubDate>Wed, 29 Dec 2021 00:00:00 +0000</pubDate>
        
        <guid>https://data-visualization.jp/dataviz-design-what-we-see/</guid>
        <description>&lt;img src="https://data-visualization.jp/dataviz-design-what-we-see/cover.jpg" alt="Featured image of post 山辺 真幸／「データビジュアライズデザイン」― 私たちはデータから何を見ようとしているのか" /&gt;&lt;p&gt;Data Visualization Japan Meetup 2021（2021年12月29・30日開催）における、山辺 真幸さん（慶應義塾大学）の講演です。制作事例を紹介しながら、情報可視化の歴史をたどり、これからの社会に必要な可視化のあり方を論じます。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
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&lt;p&gt;「データビジュアライズデザイン ― 私たちはデータから何を見ようとしているのか」というタイトルでお話しします。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;データビジュアライズデザイナー&lt;/strong&gt;という肩書で活動しております。もともとはグラフィックデザイナーで、ホームページのデザインや、もっと昔は印刷物のデザインもやっておりました。現在は&lt;strong&gt;研究の方に軸足を置きつつ&lt;/strong&gt;データビジュアライズの仕事をしています。慶應義塾大学の政策・メディア研究科で博士課程におります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;研究室は&lt;strong&gt;ビジュアライゼーション／シミュレーション／アート&lt;/strong&gt;という軸で活動しています。大規模なデータや機械学習を扱うようになり、&lt;strong&gt;表現や社会との接点が多様になってきている&lt;/strong&gt;ので、デザイン・アートの視点を取り入れながら活動しています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;今年の振り返り&#34;&gt;今年の振り返り
&lt;/h2&gt;&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;2月&lt;/strong&gt; ——渋谷の NHK プラスクロス渋谷で「8Kのデータビジュアライゼーションの可能性」展に出展&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;6月&lt;/strong&gt; ——変異株が猛威を振るう中、&lt;strong&gt;最新研究はどこまで分かってきているのか&lt;/strong&gt;という番組でビジュアライズを提供&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;9月&lt;/strong&gt; ——一連の取り組みを評価いただき、&lt;strong&gt;可視化情報学シンポジウムで大賞&lt;/strong&gt;をいただきました&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;12月&lt;/strong&gt; ——同じくプラスクロス渋谷で&lt;strong&gt;生物多様性に関するビジュアライズ&lt;/strong&gt;を制作。さらに&lt;strong&gt;ドーム型映像&lt;/strong&gt;のデータビジュアライズも制作&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;これらを紹介しつつ——&lt;strong&gt;パッと見て「何がわかる」というビジュアライズでもないんですよね。では、こういう可視化は一体何のためにやっているのか&lt;/strong&gt;をお話しします。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;事例-新型コロナの可視化&#34;&gt;事例① 新型コロナの可視化
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;NHK さんとここ1年半ほどずっとビジュアライズをやっています。&lt;strong&gt;去年のこのイベントでもお話ししたので重複しますが&lt;/strong&gt;、簡単に。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ウイルスの変異の時空間系統樹&#34;&gt;ウイルスの変異の時空間系統樹
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;大元の株からどう変異株が分岐したか&lt;/strong&gt;を系統樹として描けます。生命科学の分野ではゲノムを解析して系統樹を作るのは普通に行われていることですが、&lt;strong&gt;新型コロナは世界中で観測されたという特徴があり、どこで変異株が出たかという位置情報を持っている。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;なので&lt;strong&gt;2次元ではなく3次元的に表す&lt;/strong&gt;ことができる。そうすると&lt;strong&gt;どこで、どれくらいの変異が、いつ観測されたか&lt;/strong&gt;が分かります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これは&lt;strong&gt;アートというよりも、非常に関心が高い変異株について「今どうなっているのか」「これからどうなっていきそうか」——分かっていることも分かっていないことも含めて伝えるもの&lt;/strong&gt;として制作しました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;地域で色分けする、変異株で色分けする、&lt;strong&gt;ダイバージェンス&lt;/strong&gt;（どれくらい変異が含まれているか）で見る——様々な情報をここから読み取ることができます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;感染リスクの時空間マップ&#34;&gt;感染リスクの時空間マップ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;日本地図の上に&lt;strong&gt;火柱&lt;/strong&gt;のようなものが立っている可視化です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;赤い点が&lt;strong&gt;感染が報告された地点&lt;/strong&gt;です。それを&lt;strong&gt;地表面から上空に向かって時間軸を取り&lt;/strong&gt;、3次元上に感染地点をマップして&lt;strong&gt;密度分布を計算&lt;/strong&gt;します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうすると、&lt;strong&gt;リスクが時間的にも空間的にも連続していたところが危険&lt;/strong&gt;だと分かる。&lt;strong&gt;突発的に1箇所でクラスターが発生することよりも、時間的に何日も続いて起こっているところが危険&lt;/strong&gt;だ、と。これは&lt;strong&gt;東北大学の中谷先生&lt;/strong&gt;が研究されているアルゴリズムを使わせていただいています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;全国で可視化すると、大都市圏や北海道・札幌など、&lt;strong&gt;時間と空間でリスクがどう変化したか&lt;/strong&gt;が見て取れます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これを&lt;strong&gt;ドーム型で表現&lt;/strong&gt;してみました。&lt;strong&gt;立っている火柱の中に入っていくような視点&lt;/strong&gt;です。第1波が終わってから少し空間が生まれて間が空いているのですが、&lt;strong&gt;第2波からはずっと危険なエリアの中を飛び続けている&lt;/strong&gt;ような表現になります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;事例-マイクロプラスチック&#34;&gt;事例② マイクロプラスチック
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;12月に展示していたものです。マイクロプラスチックは&lt;strong&gt;海に流れると分解できず、生物が取り込んでしまう&lt;/strong&gt;ので生態系に影響があり問題になっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;どこに、どれだけ流れていくか&lt;/strong&gt;を研究されている九州大学の磯辺先生の海流シミュレーションを、&lt;strong&gt;8Kで可視化&lt;/strong&gt;しました。8K なので&lt;strong&gt;粒子の動きが非常にリアルに見える。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;11月中旬から12月中旬まで展示し、&lt;strong&gt;約1万1000人&lt;/strong&gt;の方に見に来ていただきました。マイクロプラスチック問題自体は「知っているよ」という方が多かったのですが、&lt;strong&gt;「こんなに溜まっているんだ」「こんな遠くまで行くんだ」と、身近な問題として捉えていただけた&lt;/strong&gt;という内容になっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば2021年2月に日本の東側で粒子を流すと、**早いものは1年ほどでこんなところまで行ってしまう。**3本のラインは粒子を3つ取り出したもので——&lt;strong&gt;紫はぐるぐる回って日本に戻ってきてしまう。北寄りのコースを通ってカナダの方に行くもの。青は一旦アメリカに行ってからハワイに戻ってくる&lt;/strong&gt;という面白い動きをしていたので取り出してみました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;磯辺先生のご研究では&lt;strong&gt;3年ほど浮遊して移動し続け、その後沈んでいく&lt;/strong&gt;そうです。その間に&lt;strong&gt;濃いエリアと薄いエリア&lt;/strong&gt;ができるらしく、海流に沿ってどこに溜まるのか——そして&lt;strong&gt;そもそも流さない方がいいよね&lt;/strong&gt;という気づきにつながってほしい、という思いで制作しました。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;美しいで終わらせない&#34;&gt;「美しい」で終わらせない
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;こういう作品を見ていただくと「&lt;strong&gt;美しいですね&lt;/strong&gt;」「&lt;strong&gt;かっこいいですね&lt;/strong&gt;」「&lt;strong&gt;すごいですね&lt;/strong&gt;」と言っていただけることが多く、非常にありがたいのですが——**それだけだと本意ではない。**そこから伝えたいことをきちんと感じ取ってほしい、という思いで作っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;余談ですが、&lt;strong&gt;とにかく大量のデータがあって複雑なものを可視化すると、結構かっこよく見えちゃったりもする&lt;/strong&gt;んですね。&lt;strong&gt;複雑性の美&lt;/strong&gt;というのももちろんあるのですが、&lt;strong&gt;きちんと読み解きをしてもらいたい&lt;/strong&gt;ということを大切にしています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;そもそも情報可視化は何のためか--dikw-モデル&#34;&gt;そもそも情報可視化は何のためか ― DIKW モデル
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;こういうイベントでこの話をするのは&lt;strong&gt;釈迦に説法&lt;/strong&gt;かと思いますが、お付き合いください。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;よく紹介されるモデルに &lt;strong&gt;DIKW モデル&lt;/strong&gt;があります。&lt;strong&gt;Data → Information → Knowledge → Wisdom&lt;/strong&gt;（データ・情報・知識・知恵）の頭文字で、&lt;strong&gt;下から順にデータを私たちの活動に役立つものに変えていく&lt;/strong&gt;モデルです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば——&lt;/p&gt;
&lt;ol&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;データ&lt;/strong&gt;：毎日の客数、気温、商品の販売数が記録されている。&lt;strong&gt;データだけでは役に立たない&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;情報&lt;/strong&gt;：関心が出てくる。「販売数と気温は関係しているのでは」と、集まったデータから気温と販売数を抽出して時系列に並べて整理する。&lt;strong&gt;構造化されて、データから情報へ一段上がる&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;知識&lt;/strong&gt;：統計処理やグラフ描画をすると「&lt;strong&gt;確かに気温の高い日に販売数も多く、売上が上がっている&lt;/strong&gt;」と分かる。ちょっと役に立ちそう&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;知恵&lt;/strong&gt;：ただ「なぜそうなったのか」「因果関係はどうか」をもう少し深く調べる必要がある。**そこまで行って初めて「知恵」**になり、「こういう時にはこれが使えますよ」と広く活用していける&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt;
&lt;p&gt;**このプロセスの中で、様々な情報可視化が登場します。**特徴を見つけるマイニングの段階で散布図を描く、仮説を検証するために視覚的な分析を行う、最終的に「こういうことが分かりました」とプレゼンテーションする——&lt;strong&gt;いろんなステップで可視化が行われている。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;つまり、&lt;strong&gt;なぜデータを可視化するのか。「データを知恵に変えたい」という強い欲求があるから&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;しかしそれだけではない価値があるのではないか&#34;&gt;しかし、それだけではない価値があるのではないか
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;データを知恵に変えるための可視化。それとは異なる価値が、情報可視化にはあるのではないか&lt;/strong&gt;と私は考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ちょっと違う方向から光を当てます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ご存知の通り &lt;strong&gt;Society 5.0&lt;/strong&gt; ということで、データをどんどん活用していこうという科学技術政策が閣議決定されています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これまでの情報社会（4.0）では、&lt;strong&gt;人が検索してナビに入れる、人が情報を分析して提案する、人が操作してロボットを動かす&lt;/strong&gt;——&lt;strong&gt;あらゆるところで人が介在&lt;/strong&gt;していました。フィジカル空間とサイバー空間の間に、人が入っていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それを &lt;strong&gt;IoT、クラウド、ビッグデータ、AI&lt;/strong&gt; を活用して&lt;strong&gt;自動化していこう&lt;/strong&gt;、大量のデータを解析して実空間に戻そう、と。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;この方向性自体は納得しますし、技術のトレンドを見てもそうなるだろうと思います。ただ、単純にそうなるのかな、という思いもする。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;人を介在させないことで、大量のデータを解析した確からしい結果が社会を動かしていく。それは必要なことだとは思うのですが、何か欠落している感じがします。単純に科学技術だけではこうはならないだろう。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;欠けているもの--納得感&#34;&gt;欠けているもの ― 納得感
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;機械が計算結果として返してくるものが瞬時にフィジカル空間に反映されるとしても、そこにいる我々人間の「納得感」、その結果を受け入れる・信じる気持ちがないと、決してスマートな社会はやってこない。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;いくら「これが正しいですよ」と言われても、**「よく分からないけれど危険を予測して車が勝手にブレーキを踏んだ」**ということが起きるかもしれない。&lt;strong&gt;それを受け入れる気持ちがついていかないと、なかなか難しい。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これは「&lt;strong&gt;直感&lt;/strong&gt;」という言葉で言い換えてもいいかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;社会に価値がある意思決定ができるのは、膨大なデータの解析結果の確からしさを突き詰めるだけでなく、「人が直感すること」「人の感覚にいかに寄り添うか」&lt;/strong&gt;——&lt;strong&gt;機械が人間に寄り添ってくれることもあるだろうし、逆に人間がその結果を受け入れる下地のようなものがないと、ああいう社会は来ない&lt;/strong&gt;のではないかと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;理解のための可視化感じるための可視化&#34;&gt;理解のための可視化／感じるための可視化
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;そこで情報可視化に目を向けると——&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;知恵につながる可視化&lt;/strong&gt;＝従来の可視化。データを研ぎ澄ませて確かな知恵に変えていくための可視化。これを「&lt;strong&gt;理解のための可視化&lt;/strong&gt;」とすると&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;直感や共感につながる可視化&lt;/strong&gt;＝「&lt;strong&gt;感じるための可視化&lt;/strong&gt;」があるのではないか&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h3 id=&#34;同じデータから2つの可視化&#34;&gt;同じデータから、2つの可視化
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;たとえばオンラインショップのビッグデータがあるとします。ものすごくたくさんの商品があり、いろんな人がいろんなものを買っている。&lt;strong&gt;多次元的で膨大なデータ&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;「どれが売れているか」という視点でヒストグラムを描く&lt;/strong&gt;と、いわゆる&lt;strong&gt;ロングテール&lt;/strong&gt;の形になります。上位がものすごく売れていて、ほとんど売れないけれど横に長く続く部分も売上に貢献している。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;でも、&lt;strong&gt;10万種類の商品があっても、ここに10万個は載せられません。&lt;strong&gt;この可視化のスタイルだと、当然&lt;/strong&gt;「売上上位は何だ、ここをどう伸ばそう」というところが人の関心になっていく。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;ところが、同じデータでこういう可視化もできる&lt;/strong&gt;んです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**一つ一つの商品を丸で表し、売れた個数を円の大きさで表す。**売上上位は分かりますが、**順位ははっきりとは分かりません。ただ、ここには全商品がマークされている。**属性や購入者の属性を色や形で表すことで、&lt;strong&gt;膨大なデータの全体像を見ることができる。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうすると、**さっきなら切り捨てられてしまう「年間2〜3件しか買われないもの」もちゃんと視界の中に入っている。**ズームインして見ていくと「&lt;strong&gt;こんなものを買っている人もいるんだ&lt;/strong&gt;」「&lt;strong&gt;これをこの時期に買うのは、なんだか共感できるぞ&lt;/strong&gt;」——&lt;strong&gt;全体の中の個別のストーリーが見えてくる。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;2つの可視化の性質&#34;&gt;2つの可視化の性質
&lt;/h3&gt;&lt;table&gt;
  &lt;thead&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;th&gt;理解のための可視化&lt;/th&gt;
          &lt;th&gt;感じるための可視化&lt;/th&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/thead&gt;
  &lt;tbody&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td&gt;明快・シンプル&lt;/td&gt;
          &lt;td&gt;全体性・全体像&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td&gt;効率的・客観的&lt;/td&gt;
          &lt;td&gt;複雑さ・曖昧さ・主観&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td&gt;少ない変数&lt;/td&gt;
          &lt;td&gt;多変数・様々な属性&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td&gt;合理的な目的のため&lt;/td&gt;
          &lt;td&gt;個人の個性・多様性を見る&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/tbody&gt;
&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;**感じるための可視化は右側に相当します。**これによって——&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;データがどのように世界を捉えているのかを共有できる&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;そもそもそういうデータが存在することを周知できる&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;データの取り方が偏っていたり、バイアスがあったりすることが「眺めていると見えてくる」&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;ミクロなストーリーを認識し、見ている人同士で議論できる&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;Society 5.0 のような自動化を進める時にこそ、実は「人間がそのデータを理解する」「多くの人で共有する」ために必要な可視化なのではないか&lt;/strong&gt;と考えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;情報可視化は社会の変化を映してきた&#34;&gt;情報可視化は社会の変化を映してきた
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;情報可視化は歴史的に見ると&lt;strong&gt;社会の変化を如実に表しています。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私たちは「こういう時はこのグラフがいい」とやっていますが、&lt;strong&gt;270〜300年近くずっと同じ形のパターンを使い回している。&lt;strong&gt;ただ&lt;/strong&gt;社会の状況が変わると情報可視化も変わり、その過程で新しいものが発明されてきた&lt;/strong&gt;という歴史があります。&lt;strong&gt;新しい時代には新しい情報可視化が必要&lt;/strong&gt;なのではないか。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ガリレオの黒点観察&#34;&gt;ガリレオの黒点観察
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;黒点の観察は小学校の理科でもやるので「ガリレオがやりましたよ」と言われても何も感じないかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;でもよく考えると、この時の社会は科学革命が始まったところ&lt;/strong&gt;です。&lt;strong&gt;魔術の世界、宗教の世界、神の世界から離れて、人間が科学で社会を成り立たせていく——その入り口&lt;/strong&gt;で太陽を見て黒点を観察するのは画期的でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**ガリレオは当然のように教会と対立します。**天体は完璧なものなのだから、&lt;strong&gt;黒点を観測し、しかも可視化するなど、常識的には考えられなかった&lt;/strong&gt;はずです。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ウィリアムプレイフェア&#34;&gt;ウィリアム・プレイフェア
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;統計や国勢学など、&lt;strong&gt;数で国を管理しよう&lt;/strong&gt;という動きがあり、貿易も始まって&lt;strong&gt;国と国との勢いを理解する&lt;/strong&gt;必要が出てきた。&lt;strong&gt;数で社会を見ることが始まって発明された手法&lt;/strong&gt;です。今では棒グラフも折れ線グラフも当たり前に使いますが、そういう経緯があります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ミナールとカルトグラム&#34;&gt;ミナールとカルトグラム
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;有名な&lt;strong&gt;ナポレオンの進軍&lt;/strong&gt;の可視化。&lt;strong&gt;なぜミナールはこの可視化をしたのか。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ミナールは&lt;strong&gt;フランスの土木技師&lt;/strong&gt;でした。この頃、&lt;strong&gt;鉄道がイギリスから発祥してフランスでも通す&lt;/strong&gt;ということで、&lt;strong&gt;都市計画やどこに鉄道を通すかを政府に提案する&lt;/strong&gt;仕事をしていたのです。製図も非常にうまかった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;一度鉄道を通してしまえば引き直せない。「どこに通せばいいのか」を考えるために、カルトグラムを使って物の移動を非常によく考えた&lt;/strong&gt;——そういう社会のニーズがあってこういう図が出てきた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ミナールが作った別の図に「&lt;strong&gt;パリにどれだけ家畜を移動したか&lt;/strong&gt;」を可視化したものがあります。&lt;strong&gt;右下の場所からはほとんど家畜が移動していない。&lt;strong&gt;家畜はトラックで運ぶわけではなく&lt;/strong&gt;生きたまま歩かせて連れて行く&lt;/strong&gt;ので、当然近いところからしか取れない。&lt;strong&gt;鉄道で物流を改革すればたくさん運べる&lt;/strong&gt;、というわけです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ナポレオンの図が有名ですが、&lt;strong&gt;どちらかというとこうしたカルトグラム——移動や物流の量を線の太さで表す——がミナールの大きな仕事の一つ&lt;/strong&gt;かなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;バックミンスターフラーのダイマクションマップ&#34;&gt;バックミンスター・フラーのダイマクション・マップ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;戦後、&lt;strong&gt;グローバリズム&lt;/strong&gt;ということで世界の状況を可視化するものが生まれました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;よく見るメルカトル図法の世界地図と違って、**実はアメリカと、北極を隔てたソ連は非常に近い。**飛行機での移動も始まっているので、&lt;strong&gt;メルカトル図法のような航海の時代の地図ではなく、飛行機で移動する時代に即した世界の見方&lt;/strong&gt;を考えた。&lt;strong&gt;新しい地図の見方、新しい地図そのものを作った&lt;/strong&gt;わけです。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;コンピュータと-filmfinder&#34;&gt;コンピュータと FilmFinder
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;90年代にコンピュータグラフィックスが使われるようになると、&lt;strong&gt;ヒューマン・コンピュータ・インタラクションでいかに情報を可視化するか&lt;/strong&gt;が研究されます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この時のモチベーションは「情報の可視化」というより、&lt;strong&gt;コンピュータに大量の情報を蓄積した時にそれをいかに探すか&lt;/strong&gt;でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;FilmFinder&lt;/strong&gt; は映画の情報を大量に記録し、タイトル・俳優・監督といった情報でフィルタリングして目的のものを探す。&lt;strong&gt;それまでは図書館で大量の本を探していた。それに代わる「ものの探し方」&lt;/strong&gt;——&lt;strong&gt;いかに効率的に探すか、見つけたいと思っていたものに近いものに出会うか&lt;/strong&gt;が研究されました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;そしてビッグデータの時代&#34;&gt;そしてビッグデータの時代
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;いまは&lt;strong&gt;ビッグデータならではの可視化、ビッグデータから何が見えるのかを探求する研究&lt;/strong&gt;が出てきています。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;Instagram の大量の写真からセルフィーのデータを分析して文化的な違いを見る&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;震災ビッグデータ&lt;/strong&gt; ——自動車メーカーや通信キャリアなど社会インフラに近いデータを持つ企業が、震災という一つの現象に対してデータを提供し、&lt;strong&gt;当時見えなかった人の動き・避難の動き、そこで何が起こったのかを克明にデータから見る&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;「今はこうじゃなきゃダメだ」「これが一番わかりやすい」という軸で語られがち&lt;/strong&gt;ですが、&lt;strong&gt;大量にあるデータから何を見るかにはいろいろなやり方がある。お手本に従って解くというより、いろいろやってみてそこから学んでいくことが必要&lt;/strong&gt;なのかなと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;学生たちとの実践&#34;&gt;学生たちとの実践
&lt;/h2&gt;&lt;h3 id=&#34;多摩美術大学--クリエイティブビジュアライゼーションワークショップ&#34;&gt;多摩美術大学 ― クリエイティブビジュアライゼーション・ワークショップ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;メガネメーカー &lt;strong&gt;JINS&lt;/strong&gt; に提供いただいた&lt;strong&gt;メガネ型ウェアラブルデバイス&lt;/strong&gt;で、体の傾きや瞬きの回数をロギングできます。それを使って学生一人ひとりが作品を作りました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;20人ほどのデータを時系列で取り、&lt;strong&gt;グラフィカルな作品&lt;/strong&gt;にしたり、**一人ひとりのデータを遺伝子に見立てて仮想の生物（アメーバのようなもの）**を作ったり。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ある学生は、飲食店予約の&lt;strong&gt;トレタ&lt;/strong&gt;さんに提供いただいた&lt;strong&gt;予約台帳のビッグデータ&lt;/strong&gt;を可視化しました。&lt;strong&gt;顕微鏡から覗いている微生物のようなイメージ&lt;/strong&gt;なのですが、**よく見ると日本列島の形をしている。**この辺が東京、名古屋・大阪、岡山・広島、九州——&lt;strong&gt;予約の状況を微生物の世界に見立てた&lt;/strong&gt;面白い作品です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;武蔵野美術大学--クリエイティブイノベーション学科&#34;&gt;武蔵野美術大学 ― クリエイティブイノベーション学科
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;先週まで行っていた授業の作品です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;研究室の本をデータベース化し、Doc2Vec で数量化&lt;/strong&gt;して、どの本とどの本が近いか、研究室の蔵書がどのジャンルに偏っているかを可視化&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;自分の LINE の履歴を全部紙に印刷&lt;/strong&gt;して、5人分のやり取りを&lt;strong&gt;物理的に可視化&lt;/strong&gt;（プログラミングに自信がないということで）。&lt;strong&gt;相手方のメッセージを消し、さらに「返信しなかった空きの時間」も可視化&lt;/strong&gt;しているのが面白い。頻繁にやり取りする相手と、たまにやり取りする相手。同じ相手とのやり取りでよく使う単語を紐で繋ぐ——&lt;strong&gt;日々のやり取りの中で気づかない自分の傾向や、自分と相手の関係&lt;/strong&gt;が見えてくる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;睡眠時間などのライフログのリズムを視覚表現&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;自分の家にあるものを全部リストアップ&lt;/strong&gt;して、どういう素材でできているか、自分がどれくらい好きか嫌いかを数量化して可視化&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;いろいろな可視化をすることで、議論や見方を共有・ディスカッションする場が生まれるのが非常に面白い。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;本のデータを機械学習した結果を見ながら「&lt;strong&gt;こういう本が多い&lt;/strong&gt;」「&lt;strong&gt;この本とこの本はどうして離れているのか&lt;/strong&gt;」と議論が進む。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**もし機械学習の結果を使って社会全体で何かをしていく時に、ただ結果を受け取るだけでなく、「データがこの研究室の蔵書をどう捉えているのか」を見る。**そういう形で、&lt;strong&gt;データが解析された結果を人間が受け入れていくにあたって、データに対する共感・共有・ディスカッションを促す可視化が生まれるといい&lt;/strong&gt;なと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;三菱電機との共同研究--エレベーターの概日リズム&#34;&gt;三菱電機との共同研究 ― エレベーターの概日リズム
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;脇田研究室と三菱電機さんの共同研究で生まれた作品「&lt;strong&gt;The Circadian Rhythm of Buildings&lt;/strong&gt;」です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;これは実は、建物のエレベーターの稼働データで作った作品&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;時計と同じように上が午前0時で、ぐるっと一周します。&lt;strong&gt;明るく（黄色や赤く）なっているのが、エレベーターが上昇するデータ。&lt;strong&gt;この辺が&lt;/strong&gt;出勤してくる時間帯&lt;/strong&gt;、お昼は降りたり上がったり、そして&lt;strong&gt;この辺はみんな帰るので降りる動き&lt;/strong&gt;が描かれています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;8台分の稼働データがあり、それぞれ&lt;strong&gt;稼働が多いカゴとそうでないカゴ&lt;/strong&gt;がある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;エレベーターの稼働データは本来ビル管理上必要なデータ&lt;/strong&gt;ですが、&lt;strong&gt;一つの建物を街や生き物のように見立てて活動状況を見る&lt;/strong&gt;ということはあまりありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**こうした物理的な移動データを AI 的に解析して何かに使うのであれば、「データそのものを見る」という経験は、それを活用する上で非常に必要なのではないか。**そういう思いで一緒に取り組んでいます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;いろいろな形で可視化をやってみる&#34;&gt;いろいろな形で可視化をやってみる
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;私は今年、&lt;strong&gt;Processing の Advent Calendar&lt;/strong&gt; にこんなものを書きました。国土交通省が提供している&lt;strong&gt;標高マップ&lt;/strong&gt;のデータで面白いことができないか、と。3次元データに&lt;strong&gt;雪を降らせてみよう&lt;/strong&gt;という、ちょっと遊びっぽいものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;書いたところ、&lt;strong&gt;クリエイティブコーディングやジェネラティブアートをやられている方たちが、Processing や p5.js でいろいろな作品を作ってくれた。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**これはすごくいいなと思っています。**クリエイティブコーディングは NFT アートの流れもあってやる人が増えていますが、&lt;strong&gt;割とアルゴリズミックな造形をやる人が多い。そこにデータを絡めることで、我々データ可視化の専門家ではやらないような面白い可視化が出てきた。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**国土交通省の標高マップは、そんなにマイナーなデータではないと思うのですが、クリエイティブコーディングの世界ではあまり知られていなかった。**富士山とデジタルアートを融合させるようなものがたくさん出てきたので、&lt;strong&gt;これは一ついい現象&lt;/strong&gt;かなと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;告知&#34;&gt;告知
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;インターネットメディアアワーズ&lt;/strong&gt; ——インターネット上に公開されたコンテンツなら何でも応募できるアワードで、私が今年の選考委員をしています。&lt;strong&gt;昨年はこのイベントに登壇していただいた荻原さんの、東洋経済オンラインのコロナ可視化が特別賞&lt;/strong&gt;でした。&lt;strong&gt;1月12日締め切り、自薦でも他薦でも可&lt;/strong&gt;なので、「これ面白かったよ」というものもぜひ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;「ビッグデータと次世代の情報表現」展&lt;/strong&gt; ——1月28日から、六本木ミッドタウンのデザインハブ内、多摩美術大学の &lt;strong&gt;TUB&lt;/strong&gt; で開催します。&lt;strong&gt;矢崎さんも作品を出される&lt;/strong&gt;とのことです。私は2作品を出し、特に &lt;strong&gt;NHK さんの新型コロナのものを8Kの巨大ディスプレイでインタラクティブに展示&lt;/strong&gt;しますので、ぜひご来場ください。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう一つ、1月に別の8Kのデータ展示も予定しています（まだ情報公開できません。&lt;strong&gt;というか私が作らなければいけないんですけれど&lt;/strong&gt;）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;質疑の時間にかなり食い込んでしまいましたが、これで発表を終わりにします。ありがとうございました。&lt;/p&gt;</description>
        </item>
        <item>
        <title>山辺 真幸／新型コロナの最前線研究を伝える可視化と、テレビ番組のデータジャーナリズム</title>
        <link>https://data-visualization.jp/covid-genome-8k-viz/</link>
        <pubDate>Mon, 28 Dec 2020 00:00:00 +0000</pubDate>
        
        <guid>https://data-visualization.jp/covid-genome-8k-viz/</guid>
        <description>&lt;img src="https://data-visualization.jp/covid-genome-8k-viz/cover.jpg" alt="Featured image of post 山辺 真幸／新型コロナの最前線研究を伝える可視化と、テレビ番組のデータジャーナリズム" /&gt;&lt;p&gt;Data Visualization Japan Meetup 2020（2020年12月28・29日開催）における、山辺 真幸さん（慶應義塾大学）の講演です。NHKと制作した4K/8K放送向けの新型コロナ可視化について、その狙いと制作プロセスを共有します。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
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    &gt;
    &lt;/iframe&gt;
&lt;/div&gt;

&lt;p&gt;慶應大学の山辺と申します。「新型コロナの最前線研究を伝える可視化と、テレビ番組のデータジャーナリズム」という少し長めのタイトルですが、発表させていただきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;先ほどの大野さんの発表がかなりゲノムの話だったので、その後でまたゲノムの話を私がするのですが、&lt;strong&gt;特にゲノムに精通しているわけではない&lt;/strong&gt;ので、間違いがあればどんどん突っ込んでいただければと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;自己紹介&#34;&gt;自己紹介
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;工学部を卒業して、最終的には半導体および物理あたりの論文を書いて卒業しました。その後 &lt;strong&gt;IAMAS&lt;/strong&gt;（情報科学芸術大学院大学／当時はまだ大学院大学になっていなかったのでアカデミーと言っていました）を出て、デザイナーとして勤務し、10年ちょっとで独立して制作・デザインをしておりました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その間、かなり長い間、主に美術系の大学で非常勤をさせていただき、プログラミングやメディア、データビジュアライズの作り方を教えてきました。少し前は&lt;strong&gt;多摩美術大学の情報デザイン学科&lt;/strong&gt;で指導していたりもしました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2014年から今の慶應大学の方で、&lt;strong&gt;社会人博士&lt;/strong&gt;という形で、働きながら情報可視化の研究をしています。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;研究室のテーマ--nature-interpretation&#34;&gt;研究室のテーマ ― Nature Interpretation
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;脇田玲先生&lt;/strong&gt;の研究室におります。主要なテーマが「&lt;strong&gt;Nature Interpretation&lt;/strong&gt;」——&lt;strong&gt;世界を解釈するためのコーディング&lt;/strong&gt;、そして&lt;strong&gt;目の前にありながら知覚することができない自然界の情報を可視化・物質化する&lt;/strong&gt;、そういう新しいメディアを作っていこう、というものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;脇田先生は今 SFC の学部長になられていて、完全にアーティストとして活動されていることもあるので、研究室自体もアート寄りのプロジェクトをする人が増えています。&lt;strong&gt;私は完全にアートの方には行かず、可視化というデザインの範囲の中でできる可能性を探求しています。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最近自分では「&lt;strong&gt;可視化のクオリア&lt;/strong&gt;」と呼んでいるのですが——&lt;strong&gt;現実はめちゃくちゃ複雑で、ビッグデータ時代になるとその複雑さをかなりカバーできるような多様で複雑なデータがますます増えていく。&lt;strong&gt;そういうものを&lt;/strong&gt;分かりやすく切り取るのではなく、複雑なものを複雑なままに、感性的に伝えるための可視化のデザイン&lt;/strong&gt;はあり得るだろうか、という研究をしています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今回お話しする NHK のプロジェクトは共同研究ではないのですが、&lt;strong&gt;普段やっている研究の内容をプラクティカルに実践している&lt;/strong&gt;形——平たく言うと受託で作っている形になります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;研究室の過去の可視化プロジェクト&#34;&gt;研究室の過去の可視化プロジェクト
&lt;/h3&gt;&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;ダイキンさんとの「空気の可視化」&lt;/strong&gt; ——エアコンが排出している気流・温度・湿度・匂いといった密度の変化をリアルタイムに可視化する野心的なプロジェクト。アート的に表現してそこに没入していく。&lt;strong&gt;空調は単なるものではなく、住環境をいかに人間の感覚的に心地よい状態に保つか&lt;/strong&gt;を体感する作品&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;日本科学未来館のコンテンツ&lt;/strong&gt; ——JAMSTEC、ライゾマティクス・リサーチと共同で制作。&lt;strong&gt;地球シミュレータが計算した全地球面の高解像度海流データ&lt;/strong&gt;を使い、日本近海から世界の海域まで、海流の動きを美しく見せる&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&#34;プロジェクトの狙い&#34;&gt;プロジェクトの狙い
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;4K放送・8K放送が始まっている状況の中で、&lt;strong&gt;この高解像度でコロナ禍をどう映し出していくか&lt;/strong&gt;というのが趣旨のプロジェクトです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2つ作っておりまして、「&lt;strong&gt;ゲノムの3次元系統樹&lt;/strong&gt;」と「&lt;strong&gt;感染リスクの時空間3Dマップ&lt;/strong&gt;」です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;なぜこのプロジェクトが立ち上がったか&#34;&gt;なぜこのプロジェクトが立ち上がったか
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;新型コロナに関するビッグデータ——膨大な量のデータを&lt;strong&gt;高精細に可視化&lt;/strong&gt;して、「どうぞ見てください」ではなく、&lt;strong&gt;専門家と一緒にそれを読み解こう&lt;/strong&gt;、というのが狙いです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**コロナに関しては、確定的に分かっていることの方が少ない。**専門家もまだまだ仮説を立て、どんどん変わっていく状況を読み取り、そこから新たな仮説を作っていくような段階です。そういう最新の研究をされている方がいろいろなジャンルにいらっしゃるので、&lt;strong&gt;その研究から出てきているデータを高精細に可視化していこう&lt;/strong&gt;と。&lt;strong&gt;最先端の研究と、我々普通の視聴者との距離をいかに縮められるか&lt;/strong&gt;という狙いがあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう一つは技術的な話で、&lt;strong&gt;8K放送をどうしていくべきか&lt;/strong&gt;という NHK さん内部の課題です。8K の受像機が家庭にあるわけでもない中で、風光明媚な映像やお相撲、過去の名作のリマスターといったコンテンツが多い。&lt;strong&gt;その中で「データを見る」という番組は新しいんじゃないか&lt;/strong&gt;、と。&lt;strong&gt;感染爆発の実像を描いて、新たな気づきやインパクトをダイレクトに届けたい&lt;/strong&gt;という思いもありました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;※ 私は NHK の中の人ではないので、この辺りは NHK さんの資料から私が読み解いた部分でもあり、正確なメッセージとは若干異なるかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;放送実績&#34;&gt;放送実績
&lt;/h3&gt;&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;9月26日&lt;/strong&gt; 4K放送&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;10月&lt;/strong&gt; 8K放送&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;12月頭&lt;/strong&gt; NHK サイエンススタジアム（8Kディスプレイを持ち込んでの展示）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;12月13日&lt;/strong&gt; NHKスペシャル「新型コロナ 第3波」（生放送）&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&#34;制作環境--nmaps-と-processing&#34;&gt;制作環境 ― NMAPS と Processing
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;NHK では &lt;strong&gt;NMAPS（高度情報利用報道システム）&lt;/strong&gt; というシステムがすでに運用されていて、取材や番組制作におけるデータ分析・可視化に使われています。カチッとしたシステムというより、&lt;strong&gt;日々アップデートして改良を重ねている&lt;/strong&gt;状況です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで &lt;strong&gt;CG のカメラワーク、4K/8K のレンダリング、番組の収録自体&lt;/strong&gt;を行うことが可能になっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私が担当したのは、&lt;strong&gt;NMAPS 上で再現する 3D モデルや可視化のアルゴリズム&lt;/strong&gt;——つまり&lt;strong&gt;データから視覚要素への変換というビジュアルデザインの部分&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この部分は主に &lt;strong&gt;Processing&lt;/strong&gt; で開発しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Processing で開発したアプリをアップデートしながら、&lt;strong&gt;プロデューサー、取材担当者、研究者、エンジニアに一斉に配信して見ていただき、そこから上がってくる議論をまた開発にフィードバックさせながら最終形を作っていく&lt;/strong&gt;、というアプローチを取りました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;先ほどの大野さんの話とは対極にあるような話ですが、可視化ライブラリはほとんど使用せず、ほぼスクラッチで開発しています。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;-ゲノムの3次元系統樹&#34;&gt;① ゲノムの3次元系統樹
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;時間が手前から奥に進行していき、その時間軸上を地図がスライドしていく形になっています。手前から1本の線がたくさん分岐していく——これが&lt;strong&gt;系統樹&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;系統樹はどう作られるか&#34;&gt;系統樹はどう作られるか
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;COVID-19 の RNA は&lt;strong&gt;約3万塩基&lt;/strong&gt;が連なって遺伝情報が書かれています。これが増殖するときに&lt;strong&gt;コピーミス＝変異&lt;/strong&gt;が発生します。増殖のたびに確率的にコピーミスが起こるので、&lt;strong&gt;ウイルスの変異の共通部分を見ていくことで系統が分析できる&lt;/strong&gt;という仕組みです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**四角い点一つ一つが変異を表しています。**それがどこで発生して、どういう形で分岐してきたのかが見られるようになっています。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;データの出どころ&#34;&gt;データの出どころ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;GISAID&lt;/strong&gt; ——医療機関や研究機関で感染者から採取された遺伝子をゲノム分析し、新しいものであれば変異株として登録されていく国際的な取り組みです。もともとは COVID-19 のために作られたのではなく、&lt;strong&gt;季節性インフルエンザなどウイルス全般の情報を扱う取り組み&lt;/strong&gt;だったそうですが、今はコロナウイルスの収集で中心的な役割を果たしています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そしてゲノムデータの可視化や分析リソースを提供しているオープンソースプロジェクトとして &lt;strong&gt;Nextstrain&lt;/strong&gt; があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Nextstrain の&lt;strong&gt;2次元の樹形図&lt;/strong&gt;はオンラインで誰でも見られます。色分けはアジアやヨーロッパといったリージョンで分けられているのですが、&lt;strong&gt;これだと素人目にはどこで発生したのかが直感的に分かりにくい。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこで&lt;strong&gt;3次元化して、位置情報を使いながら時間を変化させることで、ウイルスの時間的な拡散と空間的な広がりを同時に見る&lt;/strong&gt;という表現を作ることができました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本に入ってきたものだけをフィルタする、中国はどうだったのか、アメリカ・イギリス・ドイツはどうか——&lt;strong&gt;国ごとに経路を見る&lt;/strong&gt;こともできます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;色の違い--d614g&#34;&gt;色の違い ― D614G
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;もともとの武漢株ではなく&lt;strong&gt;変異した欧州株&lt;/strong&gt;が出てきたことが報道でも取り上げられました。この &lt;strong&gt;D614G&lt;/strong&gt; という広まった遺伝子を持つものを&lt;strong&gt;青&lt;/strong&gt;、もともとのものを&lt;strong&gt;赤&lt;/strong&gt;で視覚化しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;D614G の変異は、&lt;strong&gt;スパイク&lt;/strong&gt;——コロナウイルスの突起で、人間の細胞に引っかかる構造を持つ部分——が変化したことで&lt;strong&gt;感染性が強まった&lt;/strong&gt;という報告が出ています。&lt;strong&gt;D614G に注目して着色することで、いかに感染力が強まったのかを視覚化できるのではないか&lt;/strong&gt;と考えました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;放送されたものでは——2019年12月24日に中国のところに赤い点が出て、&lt;strong&gt;そこから出発して中国国内で広がりつつ、最初の D614G が発生。それがすぐヨーロッパに拡散してドイツ、イタリアで確認されたものがヨーロッパに拡大。その後アメリカ大陸に渡り、そこから全世界へ。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**日本にも最初は武漢株が入ってきていたのが欧州株に切り替わり、それ以降、武漢株はほとんど見られなくなった。**ある意味、&lt;strong&gt;淘汰というか進化をしながらコロナウイルスが広まっている&lt;/strong&gt;ということを、放送を通じてお伝えしました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;横から見ると政策の影響が見える&#34;&gt;横から見ると、政策の影響が見える
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;真横から見てみると、見えてくることがあります。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;左が古い時間、右に向かって新しくなっているのですが、&lt;strong&gt;広がり方が人の行動とリンクしている&lt;/strong&gt;ところがある。&lt;strong&gt;各国で行動の制限がかかると、それより右の時間では縦に走る線が少なくなり、横に走る線が増える。&lt;strong&gt;しかも&lt;/strong&gt;同じエリアの中でしか束が広がらなくなる&lt;/strong&gt;ことが視覚的に分かる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;つまり&lt;strong&gt;各国の政策がウイルスの広がり方に影響した&lt;/strong&gt;ことが分かるわけです。色をつけてみるとなおさらよく分かって、&lt;strong&gt;入国制限・移動制限をした後は、同じ色の束の中でしかあまり広がっていない。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;課題&#34;&gt;課題
&lt;/h3&gt;&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;**正確に「そこで起きた」とプロットできない。**位置情報はリージョン、国、県といったレベルで持っていますが、詳細なロケーションは欠損が多い&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;そもそも変異がどこで起こったかは特定できず、採取された位置から推定している&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;**検査数によって報告数に差が出る。**変異を示す四角い点が少ないところは変異が少ないように見えるが、&lt;strong&gt;検査数が多ければ多いほどたくさん採取される&lt;/strong&gt;ので、見た目と現実がリンクしていない面がある&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&#34;-感染リスクの時空間3dマップ&#34;&gt;② 感染リスクの時空間3Dマップ
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;青・黄・赤という3つの空間が入れ子になっているのが分かるかと思います。これは&lt;strong&gt;時空間カーネル密度推定&lt;/strong&gt;による可視化で、&lt;strong&gt;東北大学の中谷先生&lt;/strong&gt;のご研究をもとにしています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;JX通信社と東北大学の共同研究&lt;/strong&gt;として「新型コロナ 実効感染リスクマップ」がアプリや Web で公開されていますが、基本的には同じものを使っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;どういうことかというと——**JX通信社から取得した感染の発生地点情報をマップし、高さ方向に時間を取る。**地表に近いところが2月で、一番高いところが8月。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうして空間的にプロットしていくと、&lt;strong&gt;発生したポイントが時間的にも空間的にも近い＝連続して発生している&lt;/strong&gt;ところがリスクが高いとみなせる。その&lt;strong&gt;密度分布を出し、リスクが同じ等値面を可視化する&lt;/strong&gt;と、こういう形が出てくる——というのが中谷先生のご研究の成果です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;雲に見立てる&#34;&gt;「雲」に見立てる
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;**NHK のプロジェクトでは、時間を上下反対にしています。**上の方が古い時間、下の方が新しい時間です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;なぜひっくり返したかというと、これを「雲」に見立てるため&lt;/strong&gt;です。下からどんどんせり上がってくると、&lt;strong&gt;雲がせり上がってくるような感じ&lt;/strong&gt;になる。そうすると上の方が過去だね、ということでこうした表現になっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;見ていただくと分かる通り、**第1波と言われる3月にかなりリスクが高まり、6月ごろ——緊急事態宣言も解除され感染が下火になったところ——ではこのエリアがほぼ見えなくなる。**そして9月に入って第2波、現在第3波ということで、&lt;strong&gt;ここは完全に連続してしまっている&lt;/strong&gt;ことが分かります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;リスクの色分けは——&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;青&lt;/strong&gt;：4km四方で4日に1件以上&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;黄&lt;/strong&gt;：毎日1件以上&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;赤&lt;/strong&gt;：毎日5件以上&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h3 id=&#34;ct-スキャンのように切って俯瞰する&#34;&gt;CT スキャンのように切って俯瞰する
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;各期間で切って俯瞰したものがこちらです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**第1波の頃は本当に東京の都心部だけに集中して高リスクのエリアがあった。&lt;strong&gt;しかし&lt;/strong&gt;現在の第3波は、中心が高いというより、各地に黄色い部分が飛び火している。**中心だけが非常に高いのではなく、&lt;strong&gt;各地に危険なエリアがある&lt;/strong&gt;ことが視覚的によく分かります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;人の流動と重ねる&#34;&gt;人の流動と重ねる
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;さらに、&lt;strong&gt;国立情報学研究所の水野先生&lt;/strong&gt;のご研究で、&lt;strong&gt;NTTドコモのデータから人がよく流動している地域&lt;/strong&gt;を可視化すると——&lt;strong&gt;東京23区の東側、埼玉の東側、千葉の北西部、そして横浜・横須賀あたり&lt;/strong&gt;が非常に人の流動が多く、&lt;strong&gt;この外にはあまり出入りがなく、この中でぐるぐる回っている。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これも Processing で実装したのですが、&lt;strong&gt;先ほどの図と重ねてみると、エリア内を人が動いていることで、主要駅や繁華街のあるところでリスクが高まっている&lt;/strong&gt;ことが分かりました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;全国の主要都市——東京、名古屋、関西、北九州、東北、北海道——で計算してみると、**どの都市にも赤いエリア＝感染の核となる部分が存在している。**真横から見ると、&lt;strong&gt;第1波と第2波の間はどの地域もほぼ落ち着いていた&lt;/strong&gt;ことが分かります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;専門家と一緒に読み解く&#34;&gt;専門家と一緒に読み解く
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;東海大学の中川先生&lt;/strong&gt;、そして&lt;strong&gt;中谷先生と水野先生&lt;/strong&gt;に実際に8Kをご覧いただきながら、「ここがこうですよ」と解説していただきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;**特に中谷先生と水野先生には同じ場所に来ていただいて、お二方それぞれの研究を合わせた。**そうすると、&lt;strong&gt;人の動きと、第3波が地域に拡散しているという違いがよく分かった。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;違うジャンルの研究をされている方同士を、8Kの上で視覚化して合わせる&lt;/strong&gt;——ここが今回得られた大きな成果かなと思っております。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;12月5・6日には展示も行いました。子供向けのイベントでもあるので、&lt;strong&gt;丁寧に設計し、解説員が説明をしながらテレビ放送と同じ内容をお伝えする&lt;/strong&gt;形になりました。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;制作の舞台裏&#34;&gt;制作の舞台裏
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;時系列で言うと、&lt;strong&gt;7月初旬に企画会議&lt;/strong&gt;。そして&lt;strong&gt;10月の8K放送までは、7月の段階でほぼ決まっていた。&lt;strong&gt;なので&lt;/strong&gt;9月には収録しなければならない&lt;/strong&gt;——実質&lt;strong&gt;7月・8月のほぼ2ヶ月で仕上げる&lt;/strong&gt;必要がありました。経験上かなりの短納期で、最初は懸念がありました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;8K のポテンシャルを引き出せる研究がどこにあるか&lt;/strong&gt;は NHK さんが事前に広く取材されていて、いろいろなデータが候補に上がっていました。その中で、&lt;strong&gt;8K は細部と全体が両方一度に見えるという特性がある&lt;/strong&gt;ので、&lt;strong&gt;それが貢献するテーマ&lt;/strong&gt;ということで先ほどの2つが選ばれました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;初期中期最終の3段階&#34;&gt;初期・中期・最終の3段階
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;【初期】探索的な可視化&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;専門家と取材陣の間で「&lt;strong&gt;どういうストーリーが伝えられそうか&lt;/strong&gt;」を検討する段階。&lt;strong&gt;科学的にある程度の正しさがあるものでないと当然扱えない&lt;/strong&gt;ので、そのストーリーがどこにあるかを検証したりディスカッションしたりする&lt;strong&gt;サポートとしての可視化&lt;/strong&gt;を行いました。企画書やコンテ作りにも、アプリのスクリーンショットを活用していただきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;【中期】分かりやすさと厳密さの両立&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;いろんな機能をまずつけて、触っていく中でどこが面白いかを見極めた上で、では何を残して何を捨てるのか&lt;/strong&gt;、というアプローチです。&lt;strong&gt;最終的に何を残すかは、収録にかなり近づいた段階で確定しました。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;【最終】エンジニアとの連携&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;NMAPS を担当するエンジニアに&lt;strong&gt;再現用のデータを渡すためのフォーマット&lt;/strong&gt;、そして&lt;strong&gt;放送の数日前に最新データへ更新することもあり得る&lt;/strong&gt;ということで、&lt;strong&gt;パイプラインをどうしておけばいいか&lt;/strong&gt;の連携を図りました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;スケッチから最終形へ&#34;&gt;スケッチから最終形へ
&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;これが最初のスケッチです。&lt;strong&gt;3次元で系統樹を見せようと言ったとき、なんとなく直感で「できるだろう」と思った&lt;/strong&gt;んです。&lt;strong&gt;こんな絵を描いたのですが、当然この絵では伝わらなくて&lt;/strong&gt;、いろいろ可視化を進めていくうちに「これは面白いかも」と思っていただけた様子でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;初期の可視化は&lt;strong&gt;いわゆる「ヘアボール」の状態&lt;/strong&gt;で、何も見えない。そこから&lt;strong&gt;時間のグリッドを足したり、エッジの描き方を変えたり&lt;/strong&gt;、いろいろトライしました。地図の重ね方も、完全に透過させて並べるのがいいのかどうか、と。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;エッジをどう繋ぐかは非常に難しく、かなり知恵を絞ったところ&lt;/strong&gt;です。最終的に、&lt;strong&gt;感染の位置情報・繋がり・時間を変えずにエッジを束ねる方法が見つかった&lt;/strong&gt;ので、それを実装しました。&lt;strong&gt;左が束ねる前、右が束ねた後。かなり美しく、分かりやすくなった&lt;/strong&gt;かなということで、こちらが採用されました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう一つの3次元可視化は、&lt;strong&gt;ArcGIS Pro&lt;/strong&gt; を使って JX のデータを3次元に計算しています。&lt;strong&gt;中谷先生が ArcGIS 用のツールボックスを配布されている&lt;/strong&gt;ので、これを使って計算しました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;計算した上で「&lt;strong&gt;関西と関東で時間的にどう違ったのか&lt;/strong&gt;」「&lt;strong&gt;第1波と第2波はどうだったのか&lt;/strong&gt;」を取材チームに共有してきました。最終的に&lt;strong&gt;各都市のものを Processing 上で統合&lt;/strong&gt;し、そこに感染の公表地点も3次元的にプロットして検証しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;水野先生のご研究も、&lt;strong&gt;市区町村をグルーピングしたデータを CSV でいただき、Processing で GeoJSON からカラーリングしたシェイプに変換して合成&lt;/strong&gt;する流れでやりました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;台本にもスクリーンショットを使って番組の流れを検討していただく、という使い方をしていただきました。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;振り返り--ben-fry-のモデル通りだった&#34;&gt;振り返り ― Ben Fry のモデル通りだった
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;矢崎さんの発表にもありました、&lt;strong&gt;Processing 開発者 Ben Fry のデータビジュアライズのプロセス&lt;/strong&gt;——データの収集から最後の Refine / Interact まで、**一方向に進むのではなく、常に前の段階に戻ってやっていく必要がある。**そのループを繰り返すことで質が高まっていく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;まさにこのモデルの通りの進め方&lt;/strong&gt;だったなと思いました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これらの段階は、コンピュータサイエンスやフィルタリング・マイニングのところで&lt;strong&gt;どうしても先生方の力を借りる&lt;/strong&gt;ので、&lt;strong&gt;非常にいろいろな方が関わってくる。&lt;strong&gt;そういう中で&lt;/strong&gt;一つ一つバラバラのツールでやっていると時間も食う&lt;/strong&gt;し、&lt;strong&gt;特に手戻りが発生するとかなりストレスになる。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;タイトなスケジュールの中、日々変わるデータがあるところを一つのプラットフォームで回していくことで、かなりスピーディーにできた&lt;/strong&gt;のかなと思っております。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それから最後に、&lt;strong&gt;放送素材としてのクオリティアップ&lt;/strong&gt;をどうしてもかけなければいけない。&lt;strong&gt;ここはやはり Processing の強いところ&lt;/strong&gt;かなと思いました。「ちょっとここの色味が」「もう少し透明度があった方が」といった要望に、&lt;strong&gt;他のツールだとなかなか難しいところをかなりタイムリーに対応できた&lt;/strong&gt;かなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;評価&#34;&gt;評価
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;日本科学未来館で展示した際にアンケートを取らせていただきました。ゲノムと3Dマップの両方について「分かりやすいか」「美しいか」「興味が湧いたか」などを聞いたところ——&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;分かりやすい&lt;/strong&gt;、&lt;strong&gt;興味が湧いた&lt;/strong&gt;が高い&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;ゲノムの方は「美しい」という声がかなり多かった&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;「知らなかったことが分かった」も高い数値&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;ただ**展示形式が口頭説明中心だったので「説明員がうまかったんじゃないの」という可能性も否定できない。**そこで「&lt;strong&gt;どこが印象に残っていますか&lt;/strong&gt;」と聞いたところ、&lt;strong&gt;可視化のところが高かった&lt;/strong&gt;という結果が得られております。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;内部的な評価としては、担当いただいたプロデューサーの方によると——**最初「系統樹を3次元化する」と言ったときは現場もあまりピンと来ていなかったけれど、一緒に可視化を進めていく中で非常に可能性があると気づいていけた。**結果として4K/8Kでやる予定だったものが、&lt;strong&gt;局内での評価も良く、NHKスペシャルや展示の話につながっていった&lt;/strong&gt;ということで、制作チームの中でも評価が良かったかなと思っております。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&#34;まとめ&#34;&gt;まとめ
&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;1月にまたアップデートしたバージョンを放送で使う予定です（番組名はまだ公表できません）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最終的なまとめとしては——&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;専門家に読み解いてもらったものを、いかに普通の視聴者に届けるか&lt;/strong&gt;、そして&lt;strong&gt;高画質なものを鮮度よく届けるか&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;Processing を使ったことで、Ben Fry のモデルを援用したプロセスをほぼその通りに構築できた&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;結果として&lt;strong&gt;これまでにない可視化を、かつ報道で利用できた&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;アンケートの結果から、&lt;strong&gt;オーディエンスの関心と理解を引き出すことができた&lt;/strong&gt;と考えています&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;非常に駆け足になりましたが、これで私の発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。&lt;/p&gt;</description>
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