高田 祐一/すべての文化財情報にアクセスできるようにする計画

Data Visualization Japan Meetup 2024(2024年12月28日開催)における、高田 祐一さん(奈良文化財研究所 主任研究員)の講演です。散在する文化財データを統一的なフォーマットで整理し、専門家から市民まで誰もが総覧できるプラットフォームを構築する取り組みを紹介します。


「すべての文化財情報にアクセスできるようにする計画」ということでお話ししていきます。特に秘密はございませんので、SNS などで呟いていただいて構いません。

これは何でしょう

まず、これは何でしょうか。見ての通り、日本かなと思います。問題は、これが何からできているかということです。

拡大してみると、日本列島がより明確に見えます。答えは、文化財の位置情報を入れた点です。3万8617のドットを落とすと、こういう風に日本地図になる。それだけ日本には文化財が多い、ということになります。

自己紹介

奈良文化財研究所 企画調整部の主任研究員をやっています。仕事では文化財に関するデータベースの運営などをしていますが、個人研究としては実際にフィールドワークをして、山の中の調査や海の中の調査もやっております。

学問的な出自は歴史学です。前職では金融系のシステムエンジニアをやっていて、データベースなどを扱っていました。そこから転職して研究所に移りました。

私の立場としては、まずデータを作る生産者――実際に調査研究を現地でやってデータを作る立場。それらのデータを整理したりデータベースにしたりする仕事、人材育成、システムの研究開発、情報インフラの整備、国際連携もやっています。自分自身も調査研究しますので、データの利用者という立場もあります。

奈良文化財研究所は国立文化財機構という独立行政法人の一組織です。他に東京国立博物館、京都国立博物館などの国立博物館、東京文化財研究所などで構成されています。自治体系の研修もやっていて、私は「遺跡の GIS 課程」「デジタルアーカイブ課程」を担当しています。

今日の内容

  1. 文化財情報のデータビジュアライゼーション(生の計測データの可視化/大量データの可視化)
  2. すべての文化財情報にアクセスできるようにする計画

前提:文化財とは、そして情報爆発

文化財には本当にいろいろなものがあります。形あるもの・ないもの、建物、物自体、習俗、民俗的なもの、遺跡など。実は文化庁の整理は論理的な分類にはなっていません。文化財の対象が順次拡大されてきた経緯があるので、きれいに分かれるものではないのです。

そして文化財は基本的に拡大する一方です。以前は文化的景観といった区分はありませんでしたが、近年追加されました。さらに私たちの時代もどんどん過去になっていくので、対象となる時代も増えていく。文化財は減ることがなく、増えていく一方なのです。

今日の話は私自身が考古学系なので、遺跡の話に寄ります。ご了承ください。

遺跡は文化財行政的には「埋蔵文化財」という括りです。田んぼや畑の下に昔の人が住んだ建物の跡があり、壺や土器がある。何か工事をする時には、開発する前に発掘調査をして、調べて報告書を作る。

情報量が多すぎて探せない

文化財行政の課題は、情報量が多すぎて探せないことです。

  • 発掘調査は年間8000件(平成の終わり頃の統計)
  • 開発に伴う発掘の市場規模は年間600億円
  • 報告書は年間1500冊
  • 日本の遺跡は約47万
  • 専門職は約5600名

こうした傾向は、実は1977年の段階で指摘されていました。「資料の全貌はもはや誰にも把握しきれない」「将来この傾向がより難しくなることは目に見えている」と。

1993年には考古学の偉大な研究者2人の対談で、「戦後、高度経済成長期に入って日本全国で開発が増えた結果、調査も増え、資料も膨大になった。逆に皮肉なことに、情報が多くなりすぎてかえって分からなくなってきた」と語られています。

2015年には「制御できないほどの情報を日本考古学は抱いてしまった」という言葉も。実は地域の地元住民の方も、情報量が多すぎて地元の文化財を知らないということが多いのです。

これに対して1982年、ある研究者は「まず情報処理システムを作る必要がある。その上で固有の研究方法の強化と、新たな研究方法の創造がいる。それは実践でやっていくべきだ」と言っています。私としては、この方向性で情報爆発に対応したいと考えています。

蓄積型学問の宿命

考古学・歴史学・建築といった文化財系の学問は、基本的に蓄積型学問です。情報を蓄積させていくことで対象を広げ、進化させていく。

現状は着実な文化財行政が進んだ結果、情報爆発が起きていて、データが多すぎて探せない。この蓄積に飲み込まれつつある部分がある。すると人間の情報処理量には限りがあるので、研究テーマがタコツボになってしまう傾向があります。

以前推計したのですが、考古学の報告書の文字数は全体で120億文字あると私は踏んでいます。仮に1分間に600文字読んで1日7時間読むと、132年で読み終えます。ただその間にも報告書は出続けるので、200年ほどあれば読めるでしょうか。

問題は、読むのが目的ではなく、何かしらアウトプットすることが目的だということです。その時間が一切ない。情報アクセスには機械にも手伝ってもらわないと、もう人間では読めないテキスト量になっています。

話題1-① 生の計測データの可視化 ― 大阪城の石垣

私は大阪城の石垣の石、その採石場を調査しています。

兵庫県のある県立公園に石があり、長らく「こういう石がある」ことは分かっていたものの、それが大阪城の残石だとは分かっていなかった。調べた結果、大阪城の石だと分かったものです。

この石には刻印が刻み込まれています。大阪城の石垣を見に行くと、大名ごとにマークを入れている場合がある。このマークは大名の家紋になったりするので、非常に重要な研究要素です。

ところが花崗岩の表面は見えにくい。従来は「拓本」――紙をつけて墨を乗せて写し取る――のですが、見えないものを取るのは難しい。現地で見ても、はっきり見える刻印もあれば、真ん中のものは見たことがない、左側は丸があるのは分かるけれど中が分からない、という状態でした。

そこで、フォトグラメトリ(写真から3Dを作る手法)でとにかく3Dにしました。3Dにしてもまだ分かりません。人間の目には見えているはずなのに、分からない。

そこで CloudCompare という点群処理ソフトにかけて、奥行きの凹凸をかなり強調するなど、いろいろな見え方をさせると――文字やマークが出てきたのです。

生のデータ自体は XYZ の点群にすぎませんが、処理することで見やすくなる。正確に言えば「見えているけれど認識できていないもの」が見えるようになる。

これは非常に重要な成果でした。文字の刻印があり、年月が読める。左側は丸に葉が3枚――これは土佐の山内家の家紋です。つまり2つの大名が石に刻み込んで、中に人の名前と年月が入っている。明らかに何らかの契約行為をしていることになり、歴史学的にも重要な成果になりました。

航空レーザー測量が変えた遺跡調査

最近、遺跡の調査で浸透しつつあるのが航空レーザー測量データの活用です。

2020年に兵庫県が1mメッシュという高精度な3次元地形データを公開し、2023年には0.5mメッシュも公開しました。

航空レーザーは、飛行機の上からレーザーを飛ばして点を取っていく。遠いところにあるものは返ってくる時間がかかるので距離が分かる。それをひたすら繰り返すと XYZ の点群の集まりができ、処理すると地図ができます。

一部のレーザーは木の枝に引っかかりますが、一部は地表面まで到達する。その XYZ をつなぎ合わせれば地形データを作れる。データは「表面(オブジェクトを含む)のデータ」と「地形データ」の2つに分かれ、遺跡の調査では地形が大事なのでグラウンドデータを使います。

ドローンでのライダー計測の結果を見ると、通常は森になって地表面が見えないのですが、デジタル的に木を伐採してあげると、下の地表面の道の跡などがよく見えるようになります。今までできなかったことが最近は非常に簡単にできるようになったので、考古学の調査でもよく使われるようになってきました。

AI で新しい古墳を探す

さらに、AI が浸透してきたので、教師データに遺跡の位置情報と高精度の地形データを与えて、新しい遺跡がないかを探してもらう研究もやりました。

古墳でやったところ、「この古墳がある地形に似ている場所」をスコアで出せるようになりました。ただし膨大な候補地が出るので、絞り込みが必要です。古墳はその地域の権力者の墓なので、人が住んでいないところには基本的にできない。だから古代の道沿い、古代の寺院や役所があるところ――人口が多いところ――で絞り込みをかけていく。

プロジェクトでは実際に現地調査をしました。スコアが高い部分を参考に行ってみたところ――新たな古墳が見つかりました

CS立体図という微地形表現図で見ると、明らかに円墳と言われる丸い古墳が見え、中がへこんでいるのが分かる。遺跡立体図という独自の微地形表現図でも同様です。実際に現地調査に行くと、5〜6mある立派な石室が見つかりました

今こういった古墳はほとんど見つけ尽くされているのですが、令和の時代に新たに見つかるというのは非常に驚きです。おそらくこれは一例で、全国的にまだまだ見つかるのではないかと言われています。

学術的意義

高解像度の地形があれば、現地評価を支援できます。別の例では、円墳から前方後円墳に評価が変わったこともあります。

資料が増えるということは、調査研究もワンステップ上がるということです。今あるデータで今の研究を組み立てているわけですから、資料が新たな観点から増えれば、研究も新たなステージに行ける。

先ほどの古墳は、実は集落からすぐ上がった裏山のようなところにありました。通常「ここにはないだろう」という、ある種の思い込みがある。山に入るのも大変なので、苦労してそこまで行くかどうかもある。

人間はやはり経験がいい面に作用する場合もありますが、逆に思い込みで制限してしまうというデメリットもある。AI やコンピューターを使えば、そうした思い込みを突破するきっかけになるので、非常にいいと思っています。

ただし一番大事なのはデータです。今回で言えば地形データ。可視化のやり方によって表現図が変わりますし、そもそも遺跡の位置情報を整理しておかないと使えません。データをしっかり整理しておくことが大事だと思っています。

話題1-② 大量データの可視化 ― 全国遺跡報告総覧

奈良文化財研究所では「全国遺跡報告総覧」という検索システムを運営しています。

発掘調査報告書は基本的に印刷物として紙で出ますが、今は PDF も同時に公開します。その PDF をこのシステムに登録する。すると PDF はテキスト情報を持っているので、全文検索ができるようになり、検索結果からダウンロードもできる。発行機関(自治体など)は無償で PDF を登録でき、どの報告書が何件ダウンロードされたかという統計データも閲覧可能になります。

現在のデータ量は(12月12日時点で)――

  • 約4万の PDF
  • 536万ページ
  • 36億文字
  • 位置情報がある文化財情報:67万件

もう人間には読めません。36億文字はすでに読めないので、機械で読むしかない時代です。

専門用語の辞書が必要

ただ、テキストを検索するにはキーワードを入れる必要があります。私の研究分野である石切り場でも、「石切り場」「石切場」「石切丁場」「石丁場」「築石場」など、いろいろな表記がある。担当者によって、地域によって言葉の使い方が違うのです。

人間は知らないものを探せません。この単語をすべて知っておかないと検索できない。だから専門用語のシソーラス・辞書が必要になります。

内部データとして、例えば「石切り場」という辞書を持っていて、どの辞書に収録されているか、類義語は何か、どの地域の報告書によく出るか、どの言葉と一緒によく出てくるか、報告書が刊行された時期はいつか、といった情報を保持しています。

日本の報告書テキスト全体には何が書かれているか

では、日本の報告書テキスト全体の内容は何か。36億文字にどういう言葉がよく含まれるかをバブルチャートで見てみます。

大きく出ているのは「口縁部」、そして「土師器」「須恵器」といった言葉。「沈線」「口縁」「ヘラ」なども出てきます。これは土器の言葉です。土器の口の部分を「口縁」と言い、その形状によって時代的な特徴を観察するのが考古学なので、それについて担当者がたくさん記述している、ということが分かります。

色分けすると、ピンクが遺物に関する言葉、黄色が遺構(建物の跡など)に関する言葉、青がそれ以外。こうして見ると、日本の考古学はほとんど遺物に言及していることがよく分かります。遺構よりも遺物を重視してテキストが書かれている。

地域ごとの特徴語

これを地域ごとにやったらどうなるか。その地域ではよく出てくるが他ではあまり出ない言葉を重ねると、特徴語として出せます。

福岡県では「甕棺墓」がよく出てくる。福岡ではよく出るが他ではあまり出ないので、特徴的な言葉になります。

ではクイズです。「石丁場」「山茶碗」「田」「京阪」「菊川式」といった言葉が特徴語になるのはどこでしょうか。

答えは静岡県です。伊豆の方では江戸城に石垣石を供給した石丁場がたくさんあるので、それが特徴語として上がる。「山茶碗」は東海地方でよく作られたお茶碗。田んぼに関する言葉は、教科書で習うような弥生時代の遺跡があるので、それに関連する言葉がよく出てくるのだと思われます。

報告書を読まずに中身が分かる

さらに報告書ごとに特徴があるか。報告書のテキストからよく出てくる専門用語トップ40を出すと、それを読まずとも特徴を表せるのではないか。

ある報告書では「竪穴住居」「弥生時代」「縄文時代」などがよく出てくる。この言葉のグループを見ると、おそらく弥生時代や縄文時代の集落の遺跡だと分かる。明らかに江戸時代のお城の報告書ではないことも明らかです。

考古学の難しいところは、遺跡名がそのまま本のタイトルになること。「○○遺跡」とあっても、何時代のどういったものが出たのかがタイトルから分からない。こういったものを使えば、読まずとも中身を把握できるようになります。

そして、この「よく出てくる言葉のグループ」ができれば、グループ同士の類似度を計算できます。例えば私が作った大阪城の水中調査の報告書に似ているものを、下にサジェスチョンとして表示する。私は石材関係に関心があるので、それに似た報告書が下に出てきて、芋づる式に簡単に探せるようになります。

話題2 すべての文化財情報にアクセスできるようにする計画

報告書を作ったり文化財の調査をするのは、地方公共団体の文化財課、埋蔵文化財センター、博物館、大学の研究室、学会などです。

そこで作られた報告書の PDF を、この「遺跡総覧」に Web で登録してもらう。論文に関する情報、本の書誌情報、遺跡抄録(遺跡の概要)などの情報、さらには普及活用で作られた動画やイベントの情報も登録できます。

とにかく登録してもらうと、自動で――

  • 国立情報学研究所の CiNii
  • 国立国会図書館の NDL サーチ
  • 商用のディスカバリーサービス
  • ARIADNE Plus(ヨーロッパと一緒にやっている考古学のポータル)

といったところに送り込んでいます。自動でデータを流通させていく、ということをやっています。

これを個人的に「文化財情報包括計画」と勝手に呼んでやっています。それをつなぎ合わせる1つの鍵が、内容の類似度で相互に自動でつなげていくというものです。人間が関心を持つものは、ついでにより見てもらいやすいので、内容から似ているものを提示していくことを提唱しています。

10年かけたデータベース統合

そのためには、いろいろな苦労がございました。私は2013年から働いていますが、着任してから世代交代などもありつつ、データベースを統合することをこの10年ずっとやっています

いろいろなデータベースがそれぞれあったのですが、分散していると難しいので、内部のデータベースは統合していく。データベースがあるということは、データを登録する業務が走っているということで、それ自体も重複していた。だから業務自体も統合していくということをやってきました。

データクレンジングの道のり

遺跡の位置情報も、以前はかなり間違っていました。QGIS で表示すると、水中(海の上)にたくさん遺跡が落ちている、都道府県をまたいで落ちている、といったことがたくさんありました。

原因は――

  • 日本測地系と世界測地系の取り違え(今は世界測地系を使わなければならない)
  • 度分秒と十進法の区別ができていない
  • 人間なのでミスしている

これを、まず Web 上に展開して、明らかに海の上にあるものは間違いなので1つずつ検知して探していく。市町村コードを持っているので、市町村界・都道府県界を超えているものは明らかにおかしいと検知する。測地系や進法が間違っているものは自動で変換する。そうした処理を回した結果、今はある程度きれいになってきました。非常に苦労いたしました

上流でデータ品質を上げる

自治体の業務は非常に忙しいので、1回限りのデータ入力を Web でしてもらう。すると研究所のプラットフォームで適切に蓄積して、自動で流通させる。

大事なのは、入力してもらう時に不正なデータをできるだけ入れられないようにすることです。入力チェック機能をつけて、全角半角が不適切な場合はエラーを出す。データの選択の幅を狭めるためにラジオボタンにする。ただし定性的な所見を書くところはテキストでしっかり書いてもらう。メリハリをつけて、できるだけ上流からデータの品質を上げていくことを今やっています。

7つの壁

すべてをデジタルでつなげたい。そのために「7つの壁」をなくすと言っています。

  1. 媒体・コンテンツの壁(印刷物しかない)
  2. 認知の壁(言葉の定義が違う、類義語で探せない)
  3. 言語の壁
  4. 物理的な壁
  5. データ表現の壁(3次元のものが2次元の印刷物で表示されている=明らかにデータが減っている)
  6. 知的財産権の法的課題
  7. 業界の壁(考古学業界だけで閉じず、他の業界ともきちんとつなげる)

イベントや論文もつなげる

全国の博物館は文化財のイベントを一生懸命やっています。例えばある県立博物館で「古代の道沿いを掘る」という速報展示があるとすると、自動で特徴的な言葉を抽出し、それに似ている報告書を出す。イベントに関心がある人は、関連する報告書にも関心があるはずなので、一緒に見てもらいやすく、予習・復習にも使ってもらいやすい。

論文も同様に、1論文1IDを振って、地域・時代といった属性情報をどんどん付与しています。すると論文同士の類似度も出せる。ただし「どういう観点から似ているのか」が大事なので、ネットワーク図で「人骨つながりで似ている論文」といった形で出すようにしています。

これまでは、書庫にこもってひたすら本を読み、参考文献から芋づる式に探すというやり方がメインでした。当然そういう探し方には限界があるので、デジタル的に類似する報告書を提示してあげると業務が楽になる。さらに、そのテーマに関する動画やイベント、論文も探している人は欲しいはずなので、一緒につなげて見てもらう。そういうことを実践しています。

失敗例 ― 旧石器遺跡のネットワーク図

データを見える化する失敗例もあります。

旧石器の遺跡のネットワーク図を作ろうとしたのですが、結果的に失敗しました。1つの丸が1遺跡で、色が都道府県ごと、円の大きさがネットワーク的なつながりの多さ。報告書のテキストだけから遺跡のつながりを見ようというものです。

通常の考古学では、黒曜石など同じ技法で作られた遺物がどこの遺跡で出たかを考えて、流通や生産から消費を考えます。別の観点として、報告書のテキストからネットワークを探りたかったのですが、失敗しました。

原因は、全国的に同じ名前の遺跡が大量にあること。同姓同名がいっぱいいるとデータ処理で変な部分が出てきます。

そもそも、全国の遺跡の一覧が今は存在しません。文化庁は47万という全体数は押さえていますが、それぞれの目録があるかというとない。つまりマイナンバーがない状態なので、処理する時にベースになるものがなく、結果が難しくなるのです。

利用状況

遺跡総覧の利用数です。2023年度は PDF のダウンロード数が約39万件。PDF の登録数は約3万7000件。

2020年に増えて2021年に下がっているのはコロナの影響です。コロナ禍では図書館が閉鎖されたり大学に入れなかったりしたので、学生や研究目的でこのシステムがよく使われた。図書館が再開するとその部分はリアルに戻るので2021年度は落ち込みましたが、右肩上がりであることは変わりません

ページビューは1億回ほどあるので、研究者のみならずたくさんの方に使われていることが分かります。研究者だけで1億回も開くことはできませんから。

デモ ― 実際に使ってみる

(画面で実際のシステムを操作しながら)

「奈良文化財研究所」で検索するとホームページが出てきて、トップに「全国遺跡報告総覧」があります。

テキストボックスに「縄文土器」と入れると、報告書の全文検索結果が出てきます(ビッグワードなので3万件ほどヒットします)。

上部に「表記揺れ」という部分があります。印刷物の報告書はスキャンをかけて OCR(文字認識)をしているのですが、今の技術では100%正しく変換されません。似ている文字を時々間違える。例えば「土」が「上」になったり「士」になったり。これを組み合わせて表記揺れも一緒に探せます。「縄文」の「文」も別の字が使われる場合があるので、類語で一緒に探せます。

必要なものが見つかれば PDF をダウンロードできますし、下の方には類似している報告書、類似しているイベント、類似している動画が自動で出てきます。

もう1つご紹介したいのが「文化財総覧 WebGIS」です。日本全国の67万件の文化財情報が入っています。ぜひ皆さんのお住まいの場所を見てみてください。

オレンジのポリゴンが遺跡の範囲、青が実際に調査された場所。「遺跡総覧へのリンク」を押すと報告書に飛べます。今まで地図から報告書を探すことはできなかったのですが、それが可能になりました

種別で絞り込むこともできます。「古墳時代の集落遺跡」で検索して、そこにハザードマップを重ねてみましょう。すると――ハザードマップ(洪水想定区域)の中には実は遺跡があまりなくて、集落遺跡は低湿地を避けて少し上の高台にあることが分かります。3D表示にすると、古墳時代の集落遺跡が山際や台地に一致していることがよく分かる。

紙の地図や地名だけではイメージしにくいものが、WebGIS 上でやってあげるとより理解が早く、いろいろな方が使いやすくなります。

先ほどの兵庫県の高解像度データ(50cmメッシュ)を重ねると、かなりクリアに地形が見えます。3次元にすると、今まで見つかっていなかった古墳や山城を見つけやすくなる

これは本当に時間泥棒で、私も時々やると時間がなくなってしまうので、この辺りにしておきます。

とにかく私からのお願いは、ぜひ使ってみてください、ということです。ありがとうございました。

Built with Hugo
Theme Stack designed by Jimmy